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株主優待策がサマー&年末ジャンボ宝くじという、ユニークな企業マサルを読む
マサル(東証スタンダード)。ビルやマンションのシーリング(外壁防水)工事でトップ。リニューアル(修繕・改修)も手掛ける。社長:勝又健氏、取締役管理本部長:近藤雅広氏を取材した。
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今9月期を5月初旬の段階で下方修正している。新たな今期計画は前期比で「16%の減収(65億円)、65%の営業減益(1億4000万円)、53%の最終減益(1億5000万円)、70円減少の55円配」。その理由を近藤氏は、「第3四半期以降の大型工事の工期変更、原材料や運送費等の値上がりの影響」とした。
勝又氏はこう言い及んだ。「当社の収益の一方の柱:長期目標が『ゼネコン10社、シェアNO1達成』であることは揺るぎない。だが(営業推進室を中心に)提案営業に一層注力していく。例えば具体的には、中堅ゼネコンの新規開拓などに力を注ぐ。倉庫など物流拠点の展開では、中堅ゼネコンが持ち味を発揮している現実があるからだ。縁に頼った“待ち”の営業ではなく、積極的な“提案”営業に力を傾注していく。口で言うほど容易ではないことは、営業出身の私自身が重々承知している。が、中長期視点で当社収益を勘案した時に、不可避な道程だと認識している」。
下方修正と言う厳しい環境下であえてIR活動を展開、具体的な課題を公にする姿勢は素直に評価したい。
一方興味深いのは、マサルの株主優待策だ。年に2回、宝くじの提供を行っている。「600株以上の株主にサマージャンボ10枚+200株以上の株主に年末ジャンボ10枚」といった具合だ。近藤氏は「当社の個人株主の多くが、宝くじに魅力を感じている。その証拠に、200株、600株株主が圧倒的に多い」と言えば勝又氏も、「株主総会で『連番でなくバラ10枚に変更できないか』といった声も実際に出ている」と付け加えた。
だが「宝くじ」人気が、マサルの株式の流動性にマイナスに働いているのでは・・・という見方もある。出来高(商い)が低い。特定株比率は必ずしも高くない。浮動株比率は3割を超えている。にもかかわらず、出来高状況は低位で推移している。宝くじに惹かれた個人株主は「中長期保有」で構え、売り物が出づらい環境にあるためだ。
勝又氏も近藤氏も苦笑い気味に、「マサルという企業に総合的に投資をしてもらえるように、収益向上を意識した経営を執っていく」とした。実際、前記の「中堅ゼネコン開拓」や「工事に使用する洗浄剤を有機剤から無機剤に転換する研究」など企業:マサルを改めて検証する材料は少なくない。
流動性の問題は残る。だがマサルの株価は取材日の引け値:3315円までの9年半余りで、株式併合等を勘案した修正値ベースで約2.6倍のパフォーマンスを残している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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