「日本の大地主」を目指す、地主のビジネスモデル

2022年9月19日 16:42

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 地主(東証・名証プライム)。同社のIR担当者が説明するようにそのビジネスモデルは、まさに「シンプル」。

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 JINUSHIビジネス(セグメント上は不動産投資事業)は、「土地を買い」「土地を貸す」「貸している土地を売る」。要するに自ら建物を建てることなく「地主」業に徹する。土地の貸し先はスーパーが約3分の1、ホームセンター約4分の1、次いでドラッグストア・家電量販店etcといった長期営業を展開する企業。

 このビジネスモデルは、次のようなメリットを地主側にもたらす。

★テナント(借主)とは、事業用の長期(20年~30年の)借地権設定契約を結ぶ。原則「10年以上の中途解約不可期間」を設定することで、解約リスクが軽減⇔安定したキャッシュフローが見込める。契約期間中は経済状況の激変による借地料は、合理的と判断される範囲を「著しく逸脱している場合」の協議以外は「借地権料改定は不可」。

★負担する税は、固定資産税・都市計画税のみ。

★建物の建設・保有、且つ保守・修繕・改装はテナント負担で追加投資は不要。

★契約終了時には、流動性の高い更地で返還されるために資産価値が下がりづらい。

 そして地主では機関投資家向けに2017年以降、「私募リート」を設定している。物件数9件・140億円で運用開始したリートは今年で105物件・1515億円となり、投資家数も31から228まで広がっている。

 そんな地主の収益動向。2020年12月期が9カ月の変則決算だったため21年12月期との比較は出来ないが、前12月期の実績は「売上高561億7700万円、営業利益54億7500万円、最終利益31億2400万円、25円増配50円配」。今期は「1.5%増収(570億円)、7.8%営業増益(59億円)、2.4%最終増益(32億円)、5円増配55円配」計画。開示済みの中間期は「売上高270億690万円、営業利益37億4900万円、最終利益32億円」と好調な推移を示している。

 ところで地主の今後を占う意味で欠かせないのが、「地主としての規模拡大」であり「地主リートの安定性」。地主では、こう発信している。

 「優良不動産を保有する(株)ツノダの完全子会社化(21年5月)に象徴的に、仕入れは順調に進んでいる」

 「『日本の大地主』に近づくため、5月12日に九州市場開発の橋頭保として九州支店準備室を開設した」

 「地主リートの格付けが5月31日にA安定的からAポジティブに格上げされた」

 「地主リートの資産規模は中期的に3000億円以上を目指す」

 不動産業界にあっても稀有な存在。「日本の大地主」への歩みを見定めたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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