コジマの粗利益率向上と、2012年の出来事

2022年9月14日 15:50

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 大手家電量販店の一角:コジマ(東証プライム)は今8月期、「収益認識に関する会計基準」を導入。「売上高2714億円、営業利益50億円、最終利益32億円」計画で立ち上がった。

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 だが中間期開示直前の4月6日に、それぞれ「2807億円、83億円、59億円」に上方修正した。売り上げ増は「白物家電やスマホの好調」を理由としたが、増加率は3.4%。注目に値するのは利益の増加率(営業利益で66%増)。大きな要因として「ネット通販」拡充に伴う、粗利益率上昇が指摘されている。今後を占う上で興味深い。

 コジマの源流は戦後間もない1955年に、故小島勝平氏により栃木県宇都宮市で興された小島電気商会。厳しい競争の中で「家電量販店大手3社」の一角として、96年に上場。翌97年には売上高でベスト電器を抜き首位に。また2001年には家電量販店として初の、売上高5000億円超え。キャッチコピー「安値に挑戦」⇒「安値日本一への挑戦」⇒「安値世界一への挑戦」は斯界トップとしての自負が滲み出ていた。

 そんなコジマが転換期を強いられたのは、2002年のこと。隣県:群馬県を発祥の地としたヤマダ電機の攻勢を受け、売上高日本一の座を奪われた。03年にコジマのメインバンクだった足利銀行が破綻したことも、悪影響した。

 コジマの後退が始まった。12年3月期には業界7位の低迷を余儀なくされた。コジマが自前で展開してきた店舗はピークで222店舗に達していたが、スクラップアンドビルトで事態の打開に取り組んだ。が、遅々。

 2012年5月、ビックカメラを引き受け手とする約140億円の第三者割当増資を実施。発行済み株式の50%余を有するビックカメラの傘下入り、実質上の子会社となった。同業他社がM&Aで地盤を拡充する中で、独自路線を歩んできたコジマは大きな転換期を迎えた。だが振り返ると、今日のコジマはこの転換期なくしては無かったと言って過言ではない。

 傘下入りで何がどう変わったのか。一口で言えば「ビックカメラ流ビジネス展開」の採用。今期中間期の決算内容にも、それは確認できる。

★地域密着イベント: 地方自治体と提携し、大阪府内の店舗で「物産展」。

★プロ野球チームと連携した「子供向け野球教室」の開催。

★トイズ・自転車・酒類等の生活用品提供。

★ネット取り置きサービス。

★店舗の見直し。3店新設・4店閉店。

 いずれもビックカメラ「暮らしの応援」を掲げ取り組んでいる施策である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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