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ユーロドルのパリティ割れ、今後も続くか!?
●ユーロドルが20年ぶりにパリティ割れ
13日の外為市場で、ユーロ=ドルが一時1ユーロ=1ドルを割れる、いわゆるパリティ(等価)割れを記録した。
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パリティ割れは2002年以来20年ぶりとなる。
ギリシャ危機からマイナス金利、英国のEU離脱、そして2020年のコロナショックなど、これまでパリティ割れが危惧されたことはあった。今回、一時的ではあったが、ついにパリティ割れとなった。
パリティ割れ後は一旦落ち着き、1ユーロ1.01~1.02台で推移しているが、今後もパリティ割れが定着するのだろうか?
●パリティ割れの原因は?
まずは米国の6月消費者物価上昇率の結果が、予想を上回っていたことが挙げられる。次回のFOMCでの1%利上げが意識されたものと思われる。
となれば、ECB(欧州中央銀行)も利上げを急ぎたいが、一筋縄ではいかない事情があった。
ロシアからドイツを結ぶ主要ガスパイプ「ノルドストリーム1」が点検のためストップしており、点検が終了する21日以降も再開しないことが危惧されていた(ノルドストリーム1の運営会社は、21日に再開したことを発表している)。
イタリアドラギ政権の足元も揺らいでおり、利上げどころではないと見られていた。
●パリティが定着するのか?
だがECBは21日、主要政策金利を0.5%引き上げ、2011年11月以来の11年ぶりの利上げとなった。8年間に及ぶマイナス金利が解除されたのだ。
インフレが深刻であり、パリティ割れもECBを利上げに動かした可能性もあるが、ラガルド総裁は会見で最終的な到着地点を変えるわけではないと述べた後、ユーロは再び下落した。
ノルドストリーム1も供給が再開されたが、エネルギーの不安定さは解決されていない。
イタリアのドラギ連立政権は、主要3党からの支持を得られず、崩壊の危機に瀕している。ドラギ首相はマッタレッラ大統領に辞表を提出し、議会が解散され、総選挙が9月25日に行われることとなった。
イタリア政局の不安定さもユーロに影響することは避けられない。思うように利上げができない可能性もある。
再びパリティ割れの可能性も高く、相対的にユーロ安=ドル高は続くだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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