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日立と日立Astemo、新開発のEV向け小型インバーター公開
電気自動車(EV)に欠かせない部品インバーター EVの急速充電システムや、再生可能エネルギーの送電システムなど、エネルギーを無駄なく有効活用する上で重要な基幹部品だ 日立と日立Astemoが発表した新技術は省エネルギーと小型化を両立する [写真拡大]
日立製作所と日立Astemo(アステモ)は、電気自動車(EV)向けのインバーターとして、省エネルギーと小型化を両立した薄型の基本技術を開発したと発表した。この新技術を使った試作品を日立アステモが、2022年5月25日からパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2022」で公開した
この新技術は、電力供給を制御するパワー半導体をプリント配線基板と一体化して集積することで電力配線を簡素化し、パワー半導体がスイッチ動作する際に発生するエネルギーロスを、従来比で30%低減するとともに、約50%の小型化を実現した。また、新構造によりパワー半導体や電力配線の溶接工程を不要とするなど、部品数や組み立てに必要な工程を減らし、インバーター生産工程を含めたライフサイクルでCO2排出量削減する。
今後、両社は実用化に向けた取り組みを加速し、さらに日立においては、EVだけでなくEV急速充電システムや送電システムなど、広範な用途向けに薄型インバーター技術を提供。カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。
新型インバーター技術の開発は、脱炭素社会の実現に向け、自動車の電動化が世界各国で急速に進められていることが背景にある。インバーターは、バッテリーの直流電力を交流電力に変換しモーターの回転を制御する、EVに欠かせない部品だ。さらにEVの急速充電システムや、再生可能エネルギーの送電システムをはじめ、エネルギーを無駄なく有効活用する上で重要な基幹部品となる。
今後EVや再エネ要求の拡大に伴い、扱い電流が増大した場合、従来構造のインバーターでは、電力の供給を制御するパワー半導体や周辺部品を大型化する必要があり、エネルギー損失が増加するとともに、組み立てに必要な工程も複雑化する。これが大きな課題だった。そこで日立と日立Astemoは、従来と異なる構造の薄型インバーターの基本技術を開発したというわけだ。
従来構造のインバーターは、大電流をオン&オフするパワー半導体と、大電流を通電する回路部品により構成される。パワー半導体は大電流を流すと発熱するため、従来構造ではパワー半導体とインバーター回路部品を別々に組み立て、それらを配線で接続する必要があった。そのため、インバーター全体が複雑な構造で大きくなり、エネルギー損失の削減や小型化は困難だった。
そこで、日立と日立Astemoは、インバーター回路部品を組み込んだプリント配線基板上にパワー半導体を一体化して集積することで、発熱の問題を回避可能な基本技術を開発した。新技術はインバーター内部の電力配線を簡素化して、パワー半導体がスイッチ動作する際に発生するエネルギー損失を従来比で30%低減、発熱を抑え、インバーターのサイズを従来比で約50%小型化することに成功した。
パワー半導体の材料にはSiC(炭化ケイ素)ではなく、Si(ケイ素)を使った。「SiC半導体のコストは、Si半導体より3倍近い」ためだ。また基板の冷却方式には、日立アステモが開発した両面水冷方式を採用した。この新技術を使ったインバーターは2027~2028年の実装を計画し、A・Bセグなど小型EVや軽EVなどの小さなクルマへの採用を目指す。製品価格は、従来品よりも20~30%低い価格目標を掲げる。(編集担当:吉田恒)
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