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「知を探求する」文化複合施設と魅力発掘の宿泊施設 奈良県天理市に
3月21日に「なら歴史芸術文化村」と同時に開業した「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」の客室。窓から望む天理の自然が、絵画のように美しい。[写真拡大]
日本の古都・奈良がポストコロナに向けて大きく動いた。2022年3月21日。奈良県天理市に「なら歴史芸術文化村」がオープンした。同施設は、文化財を継承し活用するための拠点として、奈良県が総事業費およそ100億円をかけて整備した巨大プロジェクトだ。国内で初めて「仏像等彫刻」「絵画・書跡等」「建造物」「考古遺物」の文化財4分野の修復作業が見学できるほか、伝統芸能の体験や国内外のアーティストとの交流、子どもを対象としたアートプログラムなども実施される予定だ。さらには「道の駅」としての機能も併せ持ち、ホテルや農産物の直売所も併設されていて、奈良の新たな観光拠点としての期待が高まっている。
「なら歴史芸術文化村」というネーミングだけで想像すると、何だか堅苦しくて小難しい、どこかで見たことのあるような箱モノ施設を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、そのイメージは捨ててしまった方が賢明かもしれない。
「なら歴史芸術文化村」の基本精神は、「対話型鑑賞」と「体験」にある。ただ単に見学して、一方向の解説を見聞きするだけの博物館施設ではない。専門家や他の参加者と対話しながら、知的好奇心を広げて学びを深めるラーニングプログラムなど、様々な仕掛けが随所に施されている。例えば、村のメインの施設だけでなく、お土産販売やレストランなどの休憩施設である「交流にぎわい棟」でも、奈良県の食と農について、歴史文化的背景を交えて体験して学ぶ、講座や料理教室などが定期的に開催される予定だという。
また特筆すべきは、なら歴史芸術文化村に隣接するホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」の存在だ。同ホテルは、積水ハウス株式会社<1928>とマリオット・インターナショナルが全国で進めている、地方創生事業「Trip Base(トリップベース) 道の駅プロジェクト」の旅の拠点となるホテルの一つだ。同プロジェクトとしては、6府県15か所目、奈良県では初の開業となる。コロナ禍の新たな旅のかたちとして、地方の魅力を発掘する「コミュニティ・ツーリズム」が注目されているが、「Trip Base(トリップベース) 道の駅プロジェクト」はまさに、その最先端を走るものだ。
「なら歴史芸術文化村」と同じ日に開業された「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」のオープニングセレモニーに登壇した、積水ハウスの仲井嘉浩社長は、「同ホテルからも奈良県や天理市の知られざる魅力を発信していきたい」と意気込みを語った。また、自治体代表として登壇した荒井正吾奈良県知事も、「旅行者に新たな“おもてなし”を提供したい」と述べ、歴史や文化などに加えて、ホテルを拠点にすることで、自然が豊かな天理市でトレッキングやサイクリングも楽しんでほしいと展望を語った。
日本の古都・奈良と、日本の住宅のリーディングカンパニーである積水ハウス、そして世界最大のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルが、「なら歴史芸術文化村」と「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」を中心に、どんなシナジーを巻き起こすのか。奈良県の新たな観光拠点として期待したい。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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