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円の実力低下、日本株売りのサインか!?
●円の実力が50年ぶりの低水準
国際決済銀行(BIS)が発表した2022年1月の円の実質実効為替レートが、約50年ぶりの低水準であると、時事通信などで報じられている。1月の数値は67.55であると発表され、これは1972年以来の低水準だった。
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円の実力のピークは、1ドル70円台だった1995年4月の150.85であり、この時と比べれば半分以下ということになる。不景気なのに円高なのは、世界における日本の円の信頼が高いからと言われてきたが、今回の発表は日本が衰退しているということ示す1つの象徴的なニュースとも言える。
円安・株高という流れだった日本の株式市場もどのような変化があるのだろうか?
●実質実効為替レートとは?
実質実効為替レートとは、2国間での為替レートでは捉えられない相対的な実力を測るための指標である。
日本の輸出入額を考慮した貿易ウエイトや、日本と外国との物価指数の違いなどを考慮して算出される。
円の実効為替レートは、1970年からピークの1995年まで上昇。この時は日本の貿易黒字の拡大やプラザ合意によるドル高是正などにより、円が過大評価されていたとも考えられる。
逆に1995年以降は、日本の生産年齢人口が減少し始め、少子高齢化が進み、バブル崩壊の影響も大きく、生産性が下落し始めた。中国など他のアジア諸国の台頭により、工場を海外へと移す動きが加速した。
円の実力低下=国力の低下とは言い切れないが、バブル崩壊後のデフレ経済の長期化も影響していると考えられる。
●懸念される影響
実質実効為替レートの低下は、購買力の低下を意味し、海外のものが高くて買えなくなるという意味でもある。外国人が日本で働くメリットもなくなり、人材不足が深刻となりかねない。
円安は輸出企業にとってはメリットがあり、好業績につながり、株価も上がる。
だが今の日本は、海外に生産拠点を移していることなどから、あまりメリットがなくなっていると言われている。実際に為替の変化と株価が連動しなくなっている。
となれば、実質実効為替レートは悪い円安を象徴しているだけで、日本人にとって円安の恩恵を受けられないということを指し、マーケットにもプラスではないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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