腕時計は私には必需品 が戦争はい・ら・な・い!!

2021年12月21日 12:08

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 10月20日の読売新聞オンラインが、『腕時計、ネット販売に活路・・・コロナ下で訪日外国人減』と題する記事を配信した。要するに2010年代前半に「外国人観光客などの需要好調」で右肩上がりに推移したウオッチ(腕時計)の国内出荷がその後の高原状態を経て、20年には大きく落ち込んだ。対して腕時計各社は・・・という原稿である。

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 確かに日本時計協会のデータを見ても、「2015年の出荷数:927万5000個、出荷額:1289億6900万円」に対し「20年はそれぞれ545万4000個、772億1200万円」と大幅な落ち込みを見せている。時系列から見て、「インバウンダーの土産品需要が急激に押し上げたものが、高水準高原状態を経て新型コロナウイルス禍で激変した」と捉えることができる。

 だがこの推移に対しては「認識しておきたい要因が他にもある。若者層の腕から時計が消えている。原因はスマホの一気呵成の普及だ」、とする指摘があることも付け加えておきたい。私事だが、40歳を過ぎ子供も授かっている長男の腕に腕時計はないし、自宅に固定電話もない。

 例えばカシオ計算機では主力の「G-SHOCK」で10日から、ネット通販を開始した。好きな色・デザインなどから自由な組み合わせで注文が可能。選べる組み合わせは190万通りに上り、出来上がりのイメージはホームページで確認することができるという。こうした姿勢は時計各社が同様。ただし、ネット通販で「インバウンダー減」「スマホ攻勢」にどこまで太刀打ちできるかは今後の動向を見守らなくてはならない。

 ところで私が初めて腕時計を身に着けたのは、高校生になってから。共に故人となってしまったが母の妹に当たる叔母からの、高校入学祝だった。フッと考えた。そもそも腕時計なるもの、いつごろから存在していたのだろうか!?と。

 セイコーが発信しているデータを読む限り、こんな歴史が浮上してくる。

★19世紀の初めの頃から高貴な女性用の装身具として、宝飾品の様な1個作りの腕時計が存在していたと伝えられている。例えばナポレオン皇帝が1806年に、皇紀ジョセフィーヌのためにパリの時計宝飾師に作らせた。だがサイズが小さく視認性に劣り、精度も悪かったことから広がるには至らなかった。

★腕時計の普及と戦争:第1次世界大戦は、腕時計を普及させる大きな契機となった。既にモールス信号や音声信号といった無線技術による戦争の指揮・伝達が導入され始めた戦場では、戦略を遂行する上で腕時計が不可欠となった。米軍の要請でハミルトン(米国生まれの腕時計メーカー・ブランド。現在はスイスのスウオッチ・グループ傘下)で、軍用腕時計の生産を開始している。

 身近なもののルーツ・普及期を調べていくと「戦争」の2文字と、しばしば出会う。他意は全くないがかの正露丸も日露戦争時に軍が「兵隊の必需品」として開発したものだった。

 腕時計は必要。が戦争は不必要・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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