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最安値更新のトルコリラ、今後の行方は?
●トルコリラが史上最安値
トルコの通貨トルコリラは、11月以降下落が止まらず、1トルコリラ=10円を割り込み史上最安値を更新している。
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エルドアン大統領によるトルコ中央銀行への利下げ圧力や、米国のテーパリング・利上げ観測に対する警戒が原因と見られている。
エルドアン大統領の圧力は、トルコ中央銀行の独立性に対しての信頼を大きく損ねており、売り圧力は止まる気配が無い。一体、どこまで下がりるのか、もしくは反転はありうるのだろうか?
●なぜ下落?過去にも
南アフリカランドやブラジルレアルと共に、トルコリラは政策金利が高く、高金利通貨の代表格だった。日本でも、FXで高いスワップポイントが得られる通貨として人気があった。
一方で値動きが激しく、リスクの高い通貨としても知られている。2018年にも、米国の利上げ、対外債務問題、米中貿易戦争の影響なとにより約20%暴落していた。相次ぐ利下げにより、今では高金利通貨としての魅力もなくなっている。
ロイター通信によると、エルドアン大統領は“経済独立戦争”で成功する決意を述べており、インフレ率が上昇しているにもかかわらず、利下げを継続している。
インフレも制御不能となっており、消費者信頼感指数も過去最低を記録。政権へも中央銀行へも信頼が無く、さらなる売りを呼ぶ悪循環となっている。
●これからも下落は続く?
トルコは輸出が好調なため、エルドアン大統領としては低金利政策・通貨安を維持することで、競争力を高めたい狙いがあるようだ。
だが極端な通貨安がインフレを招き、あらゆる物のコストが上昇。企業の収益を圧迫し、国民の生活にも打撃を与えることは容易に想像できる。
もし仮に通貨危機というようなことになれば、マーケットへ大きな影響が出ることは避けられない。
現状では、トルコ中央銀行への信頼が回復し、トルコリラ安に歯止めがかかることに期待するのは厳しい状況である。
エルドアン大統領が政策転換し、利上げに舵を切ったとしても、かつてのような高金利通貨としての地位を築くことは難しいだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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