凸版印刷、使用済み紙おむつのリサイクルで実証実験 製品化可能か検証

2021年11月14日 17:03

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町田市と八王子市と4社で協業し、使用済み紙おむつのリサイクル事業の実証実験を開始する(画像は凸版印刷の発表資料より)

町田市と八王子市と4社で協業し、使用済み紙おむつのリサイクル事業の実証実験を開始する(画像は凸版印刷の発表資料より)[写真拡大]

 凸版印刷(東京都文京区)は12日、使用済み紙おむつのリサイクル事業の実証実験を開始すると発表した。町田市と八王子市で、紙おむつを回収しリサイクルして製品化できるか事業性を検証する。住友重機械エンバイロメントなど4社で協業して行う。

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 一般家庭が排出する使用済み紙おむつを分別回収し、含有するパルプとプラスチックを再生原料としてリサイクルする。再生したパルプは建築資材の原料として活用。プラスチックは紙おむつの回収箱や回収袋としてリサイクルする。2022年3月までに「完結型マテリアルリサイクルシステム」によって資源循環を行える体制を構築する予定だ。

 紙おむつのリサイクルを行う時に出てくる排水の処理や、広域で回収した場合に採算がとれるかの試算なども行う。また、分別回収のルート設定にAIを使用して検証を実施する。

 回収を行うのは白井グループ。AI配車システムで効率的な回収を行う。水溶化処理設備の設計や施工を行うのは、住友重機械エンバイロメントで、環境に配慮した処理技術の開発を担うのがトータルケア・システム。凸版印刷はこれらの事業統括を行い全体のマネジメントを行う。市民の行動変容や回収品のアップサイクルを促進する。

 白井グループは家庭形廃棄物と事業系廃棄物の2つを手掛ける企業。DXに注力しており、AI配車システムやデジタル資源循環などを実用化している。今回の実証実験では紙おむつ回収の際に、低炭素で経済的に配車するルートのシミュレーションをAIで行う。

 トータルケア・システムは紙おむつを水溶化処理するプラントをつくり、2005年から事業を開始している。現在は、年間5000トン以上の使用済み紙おむつをリサイクルしており、CO2排出量を37%削減することに成功している。住友重機械エンバイロメントは水処理事業を行っており、民間排水処理に関して高い技術力を保有している。

 尚、今回の実証実験は東京都共同事業「家庭用紙おむつの効率的回収と完結型リサイクル事業」に採択された。東京都は廃棄物の循環利用を促進するため、2021年7月に、実証事業を公募していた。凸版印刷の他に、小田急電鉄とユニ・チャームによるリサイクル事業も採択されている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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