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相場展望11月1日 衆院選挙イベント「お祝儀」⇒決算発表に注目 米バイデン政権は看板の財政支出と増税案を変更
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/28、NYダウ+239ドル、35,730ドル(日経新聞より抜粋)
・市場予想を上回る決算を発表した銘柄が買われ、NYダウなどを押し上げた。スマートフォンのアップルなどにも先回りの買いが広がり、ハイテク株が多いナスダック総合は1カ月ぶりに過去最高値を更新した。
・製薬のメルクが+6%高、建機のキャタピラーは+4%高となり、2銘柄でNYダウを+85ドル押し上げた。
・自動車のフォードが+9%上昇した。供給網の混乱が企業収益を圧迫するとの懸念が薄れ、景気敏感株が買われた。
・長期金利が上昇し、金融株の買い直しを誘い、米原油先物上昇で石油株も買われた。
・バイデン米政権の看板政策である子育て・教育支援・気候変動対策の具体化を期待した買いも入った。
【前回は】相場展望10月28日 NYダウ、ダブルトップとなるか?注目 日経平均、『超短期でドテンの繰り返し』に警戒
2)10/29、NYダウ+89ドル高、35,819ドル(日経新聞より抜粋)
・好決算を発表した銘柄が買われ、NYダウは3営業日ぶりに過去最高値を更新した。
・前日、市場予想を下回った決算発表をしたスマートフォンのアップルは、売られMYダウの重荷になった。
・好決算を発表したソフトウェアのマイクロソフトは4日続伸し、上場来高値を更新し、時価総額でアップルを逆転し、米株で首位になった。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合は5日続伸し、連日で過去最高値を更新。電気自動車のテスラ、エヌビディアなど一部の半導体株が上げた。
・ただ、ネット通販のアマゾンが▲2%下げるなど、主力ハイテク株で値動きはまちまちだった。
●2.米国株式に影響を与える条件に注目
1)バイデン政権の看板政策の変更
・財政支出法案:当初3.5兆ドル ⇒ 民主党内の反対で減額して1.75兆ドルを発表。 ⇒ 株式相場にはマイナス要因。
・法人税の増税撤回:所得1,000万ドル以上の高額個人所得層に対する増税に転換 ⇒ 株式相場にはプラス要因。
2)米7~9月期GDP成長率を+2%に大幅減速。
3)テーパリングは11月FOMC会合で決定の可能性高まる
・テーパリング開始でも、FRBから市場に供給する増加資金が減少するだけのこと。市場から資金を引上げることではない。
・カネ余りの状態が続いていることに、変わりはない。よって、テーパリング開始が、米株式市場に影響を与える直接的な要因にならないと考える。
・注意すべきは、FRBが
(1)FRBのバランスシート縮小に着手
(2)金利引上げ
の時期となりそうな2022年中央である。
●3.米7~9月期GDPは前年同期比年率+2.0%、デルタ株感染拡大が響く(フィスコ)
1)4~6月+6.7%から予想以上に減速。事前予想の+2.7%増をも下回った。
2)GDP価格指数は前期比+5.7%、過去最大の伸び。
3)スタグフレーション懸念なども浮上し、ドルは軟調。FRBはテーパリング開始を11月に目指すが、難しい舵取りを迫られる。(共同通信)
●4.米9月物価は前年同月比+4.4%上昇、30年ぶりの大きさ(共同通信)
1)米商務省が10/29発表した、9月個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比+4.4%上がり、上昇率は1991年1月以来で30年8カ月ぶりの大きさとなった。
●5.米先週分の失業保険申請件数は28.1万件、4週連続の改善(フィスコ)
●6.バイデン政権が、(1)増税 (2)経済対策 の法案骨格を発表(フィスコ)
1)経済対策・最大1.75兆ドル規模
2)増税
・所得1,000万ドル以上に税率5%上乗せ
・所得2,500万ドル以上に、さらに3%追加
●7.FRB高官の金融取引規則違反で売買額10%超の罰金の可能性(WSJ報道)(フィスコ)
●8.企業業績
1)GM 7~9月期最終利益+2,750億円、前年同期比▲40%減、半導体不足(NHK)
2)フォード 7~9月期最終利益+2,080億円、前年同期比▲23%減、半導体不足(NHK)
●9.新興国
1)ブラジル ブラジル中央銀行、インフレ加速を警戒し政策金利7.75%に引上げ(NHK)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/28、上海総合▲43安、3,518(亜州リサーチより抜粋)
・商品市況安が逆風となり、3日続落した。
・石炭先物価格は10/19最高値をから、10/28安値まで▲46.6%も急落した。また、非鉄や鉄筋の先物が軒並み安で推移している。
・新型コロナ再感染拡大を背景に、中国経済の回復ペース鈍化も懸念される状況。
・秋の行楽シーズンを迎えた中国では、ツアー客を起点とする感染拡大が続いており、一部地域では行動規制が導入された。
・業種別では、エネルギー・非鉄・鉄鋼などの資源・素材株が下げを主導。反面、消費関連株はしっかり。
2)10/29、上海総合+28高、3,547(亜州リサーチより抜粋)
・自律反発の買いが先行した。
・上海総合指数は3日続落し、約2ヶ月ぶりの安値水準に落ち込んでいた。しかし、上値は重い。
・新型コロナ感染再拡大を背景に、中国経済の回復ペースの鈍化が警戒されている。
・10月製造業購買担当者景気指数(PMI)の10/31発表を控え、結果を見極めたいとするムードも漂った。
・業種別では、航空機関連・紡績機械・二輪車・食品飲料が高い。反面、金融は冴えず、保険は全面安となった。
●2.中国製造業PMI、10月は49.2と50割れは2ヶ月連続の低下(ロイター)
1)中国国家統計局10/31発表の10月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、市場予想49.7から低下した。前月の49.6をも下回った。
2)原材料価格の高止まりや、国内需要の鈍化が影響しており、景況は年内さらに悪化する可能性がある。
●3.北京市、デルタ感染拡大で、ホテルでの披露宴禁止、国内旅行中止など規制強化(時事通信)
●4.中国でついに『不動産税』導入か、中国の富裕層は涙で目がかすむ(JB press)
1)第13期全国人民代表大会(全人代)第31回会議は10/23に行われ、国務院(内閣)による『不動産税』(固定資産税)導入を、一部地域において改革試験として実施することを決定した。
2)これまで個人所有の不動産に対する税金は、原則として無かった。2011年に上海市と重慶市で導入されたが、投機目的不動産や豪邸が対象で、税率も低税率で、住宅価格への影響もなかった。
3)習近平国家主席は10/16、共産党理論誌「求是」に『共同富裕をしっかり推進しよう』とのタイトルで記事を寄稿し、積極的な不動産税の立法と改革に言及し、指示を出した。
4)不動産税の徴収対象は、都市部の居住用と非居住用の不動産で、農村部は含まない。
5)1つの功能は、不動産税負担によって、企業や富裕層が投機目的で複数の不動産を長期的に保有することのハードルが高くなる。
6)本格的に不動産税が導入されれば、不動産価格が大暴落し、不動産バブル崩壊が起き、多くの都市市民の資産が泡と消えるのではないか、という懸念がある。9月中国不動産取引量は、北京で前月比▲21%減、上海は▲40%減と大幅に減っている。
7)都市の市民世帯の平均的な資産比重の、7割が不動産である。下手に広く不動産税を徴収すると、都市民全体から共産党・政府が恨みを買うことになる。
8)2011年に重慶や上海で導入されたケースと同様に、抵抗勢力、つまり不動産を資産として多く保有する共産党中央の官僚やそのファミリーの抵抗にあって、掛け声ほどには大胆な税制改革につながらない可能性もある。民間が所有する不動産にだけ不動産税を課すという結果になる場合もあり得る。
9)不動産税を導入しても、必ずしも不動産市場が健全に発展するとは限らない。むしろ、よりいびつな国家資本主義、権威主義市場になっていくかもしれない。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/28、日経平均▲278円安、28,820円(日経新聞より抜粋)
・決算発表の内容が市場の期待に届かなかった銘柄を中心に売られた。
・前日の米株式市場でNYダウが4営業日ぶりに反落したことも重荷となった。
・米債券市場では、長期金利が低下し、利ザヤが悪化するとの見方から、銀行や保険といった金融株が下げて重荷となった。
・朝方に下げ幅が一時▲400円を超えたが、主要銘柄に押し目買いが入り、下げ幅を縮めた。
・好決算を発表したスクリンや信越化学などは上昇した。経済活動の再開に向けた前向きな動きを手掛かりに空運や鉄道も買われた。
2)10/29、日経平均+72円高、28,892円(日経新聞より抜粋)
・好決算や業績見通しの上方修正を発表したキーエンスやソニーなどの銘柄に買いが入り、上げ幅は+180円を超えて心理的な節目の29,000円に乗せる場面もあった。
・一方で前場は、月末に衆院選で自民党の単独過半数の維持に懐疑的な見方が強まり、短期筋は日経平均先物に売りを仕掛け、一時▲300円超下げるなど、1日を通してみると方向感に欠ける展開だった。
●2.衆議院選挙イベントは終え、政局は安定化、今後は経済対策・決算発表に注目が移る
1)選挙結果は、自民党は減少小さくむしろ健闘、立憲民主党などの減少は維新の会へ。日本維新の会は、党是「身を切る改革」を掲げて、自民党との違いを強調した戦略が奏功し、大幅に衆院議席を4倍近く増加させて大躍進した。国民の思うところは、『改革で財源を捻出⇒配分』であり、「財政赤字⇒配分」の「ばらまき政策」ではないということだろう。
2)日本株式相場は与党の絶対安定多数の結果を受け、買い安心感が広がる可能性がある。
3)ただ、自民党総裁選・衆院選挙中において、岸田首相は経済対策について明確な発言をしていない点に注目したい。岸田首相は、財務省寄りの財政政策に親和的であり、経済構造の抜本的な対策への期待は持たない方がよさそう。「新しい資本主義」を掲げたが、内容を検討する諮問会議は発足させたばかりで、内容はこれからである。本来は、昨年9月総裁選挙後の冷や飯期間に「構想を練り上げるべき」事項であった。
4)よって、株式相場は「選挙結果のお祝儀相場」はあっても、長続きしないと思われる。むしろ、本格化した決算発表に視点は移るのではなかろうか。好決算発表銘柄を中心とした個別物色相場になるとみる。
5)日経平均EPS(1株当たり利益)は、決算発表が始まったにもかかわらず、上昇していないのが気掛かりである。内外短期筋の買い仕掛け、それを増幅させるアルゴシステム取引に乗って買いを入れる方法もあるが、飛び降りの速さも併せ持つ必要があると思われる。
●3.日銀は2021年度成長率見通し3.8%⇒3.4%下方修正(毎日新聞)
1)2021年 3.8% ⇒ 3.4% 下方修正
2022年 2.7 ⇒ 2.9 上方修正
2023年 1.3 ⇒ 1.3 据え置き
●4.12月電気・ガス料金、4カ月連続の値上げ(NHK)
●5.水素関連の国内市場規模予想(スマートジャパン)
1)2021年 183億円
2035年 4兆7,013億円
●6.企業動向
1)三菱重工 米スタートアップ企業に出資(時事通信)
二酸化炭素の回収・貯留・再利用をする取り組み強化が狙い
2)自動車8社 9月国内生産5割減、部品不足で稼働停止(時事通信)
3)ソニー 台湾TSMCの日本工場に協力を表明(時事通信)
4)ルネサス イスラエルのアナログ半導体企業セレノ社を359億円で買収(時事通信)
5)東芝 高効率のドライバーICチップを開発(時事通信)
パワー半導体と電力変換器の小型・効率化を実現
●7.企業業績
1)富士通 7~9月期営業利益+814億円・前年同期比+31%増(日経新聞)
予想+920億円を下回った
2)航空電子 2022年3月期営業利益+155⇒+185億円に上方修正(ロイター)
3)スクリン 2022年3月期営業利益+445⇒+545億円に上方修正(ロイター)
4)大日本住友 4~9月期純利益+364億円と、前年同期比▲2%減(日経新聞)
通期利益は据え置き
5)東京電力 2022年3月期最終利益+670⇒▲160億円赤字、燃料高で(ロイター)
6)大ガス 4~9月期営業利益+405億円、前年同期比▲22%減益(日経新聞)
7)日立製作所 2022年3月期営業利益+7,230億円、前期比+46%増 (日経新聞)
従来予想+7,400億円からは下方修正
8)NRI 7~9月期営業利益+273億円、前年同期比+24.2%増益(フィスコ)
通期+960⇒1,040億円、前期比+28.8%増に上方修正で予想も上回る
9)日本電計 2022年3月期営業利益予想25.0⇒26.0億円に上方修正(フィスコ)
10)日特殊陶業 上期営業利益+339億円、前年同期比2.0倍(フィスコ)
通期営業利益予想+500⇒685億円に上方修正
11)パナソニック 上期最終利益+1,530億円、前年同期比+3.1倍増(産経新聞)
通期最終利益+2,400億円、前期比+45.4%増に上方修正
12)ソニー 上期営業利益+5,985億円、前年同期比+11.5%増(東京リサーチ)
通期営業利益+1兆400億円、前期比+8.9%増、上方修正
13)オリエンタルランド 2022年3月期最終赤字▲175億円、2年連続赤字(共同通信)
14)三菱電機 上期純利益+1,209億円、前年同期比+42.3%増(朝日新聞)
15)中部電力 上期純利益+426億円、前年同期比▲62.8%減(朝日新聞)
16)日立物流 上期営業利益+189億円、前年同期比+23%増、予想下回る(日経新聞)
17)JR東日本 2022年3月期最終利益+360⇒▲1,600億円赤字に下方修正(読売新聞)
18)コマツ 2022年3月期営業利益+2,250⇒+2,820億円に上方修正(ロイター)
19) ANA 2022年3月期最終利益+35億円黒字⇒▲1,000億円赤字(Aviation Wire)
人員削減9,000人規模(FNN)
20)HIS 2021年10月最終利益▲530億円赤字、過去最大(時事通信)
21)名鉄 上半期最終利益一転赤字に、+15億円黒字⇒▲26億円赤字(時事通信)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7259 アイシン 業績堅調。出遅れ。
・7564 ワークマン 業績堅調。調整は終了か。
・4587 ベプチド 業績堅調。売られ過ぎ。
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