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語学の達人シュリーマンから学ぶ! 英語の習得に大切なこと
トルコ・チャナッカレにあるトロイの木馬像。©zheleva/123RF.COM[写真拡大]
ドイツの考古学者、ハインリヒ・シュリーマン(1822~1890)は、トロイア遺跡発掘という歴史的偉業で有名だが、実は独学で18カ国語をマスターした語学の達人でもあった。前回に引き続き、私たち英語学習者も参考にしたい、シュリーマンの語学習得法を見ていこう。
【こちらも】まずは音読から! シュリーマンに学ぶ英語習得法
■外発的要素を利用する
前回の記事で、シュリーマンは外国語の習得において音読を非常に重視していたことを述べた。毎日の練習を継続させるために、人まで雇って音読を聞いてもらっていたという。自分1人でコツコツ勉強を続けるのが苦手という人は、彼のように外発的要素を利用してみよう。
たとえばオンライン英会話なら、毎日同じ時間帯に同じ講師を予約するといった感じだ。毎日同じ人でなくても、曜日ごとに決まった講師のレッスンを受けるというように、スケジュールを固定するとよいだろう。オンライン英会話は自分の都合で予約もキャンセルも自由にできるが、このように講師との間で暗黙の了解を作ってしまえば、サボりたい時でも「先生が待っているから」と自分1人の時以上に頑張れるだろう。
■作文と添削
シュリーマンは、音読だけであれほど多くの外国語を習得したわけではない。彼がもう1つ重視した方法に、作文と添削がある。彼のやり方は以下の通りだ。
最初に覚えたい単語をいくつか選び、教師にそれらを使った文章を作ってもらう。まずそれを音読や筆写によって暗記し、次いで、その覚えた文章を参考に、一部を変えたり組み合わせたりしながら、自分なりに文章を作ってみる。その後作った文章を教師に添削してもらい、またそれを暗記する。
こうやって覚えたい単語を使い、次々と作文、添削、暗記と続けていくのであるが、その過程で本や辞書なども使って語彙や文章のストックを増やし、それらを組み合わせつつ、複雑で長大な文章を自分で自由に作れるようになるまで続けたという。
このように、シュリーマンのやり方は、「書いて、読んで、覚えて」をひたすら繰り返すという愚直なものだ。地味な印象を受けるが、何度も何度も自分の手で書き、声に出すというふうに体を使った作業を繰り返すうち、意識しないでもできるようになるものである。楽器やスポーツの練習と同じで、頭で考えるより体で覚えてしまうのが大切だということだ。
■すべては夢の実現のため
また、彼は自分の興味を非常に重視している。覚えたい単語、作文のトピックなどは、すべて自分が非常に興味を持てることを規準に選んだという。ホメロスを原語で読みたいという願いから、古代ギリシア語をマスターできたと言うように、シュリーマンは常に自分のやりたいことを叶えるために外国語に取り組んでいった。18カ国語を操ることのできるポリグロットになれたのも、すべてその結果と言えるだろう。
私たち日本人の多くが、英語というたった1つの外国語さえなかなか満足に使えるようにならないのは、彼のように強い内発的動機付けがないからだろう。シュリーマンが実業家として大成功したのも、多言語を習得することができたのも、そもそも「トロイア発見」という生涯の夢の実現がモチベーションとして存在していたことを忘れてはならない。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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