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「良いインフレ」を目指すFRB議長証言と「1人負け」日経平均株価の行方 中編
(1)「企業の売上増(景気拡大)」、(2)「賃金上昇(購買力上昇)+雇用増」、(3)「モノ・サービスの需要増(消費増)」、(4)「モノ・サービスの値上がり(インフレ)」という好循環を繰り返す「良いインフレ」を目指して、アメリカのFRB(連邦準備理事会・アメリカの中央銀行としての組織)や政府は、市場や市民に資金をばらまいているわけだが、結果として(1)や(2)を起こせなければ大失策となる。
【前回は】「良いインフレ」を目指すFRB議長証言と「1人負け」日本株式市場の行方 前編
すなわち、(1)~(4)の推移を確認するための各統計は、今後も非常に重要な意味を持つことになる。(1)を確認するGDPやISM製造業景況指数、小売売上高、(2)を確認する雇用統計、(3)を確認する個人消費支出価格指数(PCE)、そして(4)を確認する消費者物価指数(CPI)などが挙げられるが、これらがバランス良く上昇していく必要があるのだ。
もちろん、(1)~(4)の各統計数値が確実に回復するまで、金融政策や財政出動を延々と続けるわけにはいかない。市場へ資金をばらまいた結果として、仮想通貨の暴騰や、ゲームストップ社のような個人投資家のマネーゲームが、市場へ悪影響を及ぼしつつあることもその弊害の1つだ。
さて、そんな各統計を経たFRBの「考え方」を知る機会として、FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録やパウエルFRB議長の記者会見、同議会証言などが挙げられるが、7月28日にもFOMCを経ての記者会見があった。
記者会見の結果によって、FRBの今後の金融政策の動向を知ることができるという意味で、その内容は非常に重要であり、金融緩和の縮小は総じて株式市場へはネガティブとなるからだ。そのため、市場のコンセンサスを得ない発言によって大きく相場が乱れる可能性も十分に考えられた。
結果としては、市場へ特段の混乱を与えることもなく、パウエル議長は無事に記者会見を終えた。金融緩和の終了であるテーパリングの議論が進んでいることを示しながら、まだまだ雇用の回復は十分ではないことも同時に示し、ハト派とタカ派の意見を織り交ぜた発言に終始したからである。
しばらくは金融緩和が続くという安心感からか、株式市場は落ち着きを取り戻す結果となったが、これはあくまでもアメリカ市場の話である。実は年明け、特に2021年2月以降の日本の株式市場は、世界の株式市場から取り残されている状況なのだ。
2月1日の各終値を起点とした場合に、日経平均株価はマイナス圏で推移している一方、ダウ平均株価やユーロ・ストックス50指数は15%ほどの上昇、イギリス市場(FTSE100)も10%ほど上昇している。
この圧倒的な差は、経済正常化に舵を切りつつある国との差であるかといえば、必ずしもそういうわけではない。あれだけ感染者数が増加して混沌となったインドの株式市場ですら、10%ほどの価格上昇をしているからだ。
それでは、日本の株式市場がここまで世界の株式市場に出遅れている理由は何であろうか?(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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