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まずは音読から! シュリーマンに学ぶ英語習得法
ドイツにあるシュリーマンの銅像 ©jqnoc/123RF.COM[写真拡大]
トロイア遺跡の発見で有名なハインリヒ・シュリーマン(1822~1890)は、語学の達人でもあった。自らの創意工夫によって、なんと18カ国語をマスターしたという。150年も前に独力で多くの外国語をマスターした彼の方法は、きっと現代のわれわれ英語学習者にも役立つことだろう。そこで、今回は彼の自伝『古代への情熱』を参考に、シュリーマンの外国語学習方法を見てみることにしよう。
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■夢の実現が語学習得のモチベーション
ホメロスの『イリアス』でトロイアへの憧れを抱いたシュリーマンは、それまで神話としか考えられていなかったこの文明の実在を信じ、幼少のころには、すでに「いつか遺跡を発掘してやろう」と決意する。この幼いころの決意、「絶対に夢を叶えるんだ」という強い気持ちが、彼の語学習得のモチベーションになっていることにまず注目したい。
だが経済的な事情などで教育も満足に受けることができず、彼は若くから商売の道に進むことになった。その過程で必要性を感じたのが外国語の能力だ。大好きなホメロスを原語で読みたいという思いから、古代ギリシア語を学びたいという気持ちは古くから持っていたようだが、ビジネスの必要上、まずは英語の習得に身を捧げることになったという。そこで注目したいのが、彼の英語習得法である。
■毎日の音読
彼は英語の習得過程において、その後の多数の語学習得を容易にした方法を発見したと語っている。その方法とは音読だ。毎日、少なくとも1時間は大きな声で英語を音読したそうだ。その際、翻訳はしないように心がけていたらしい。今もよく「英語は英語のまま学べ」と言われるが、シュリーマンは150年以上も前にすでにそれに気づいていたのである。
もちろん初歩の段階では意味を確認することが必要だ。それをしないで外国語の意味がわかるようになるわけがない。彼の言いたいことはおそらく、一度意味を理解した文章は母国語にいちいち翻訳したりしないで、暗唱できるぐらい徹底的に音読を繰り返せということだろう。これは、現代の語学学習者にも通じる大切なポイントだ。
■シュリーマンならではの音読を続ける工夫
シュリーマンは音読をする際、いつも1人でぶつぶつやっていたわけではない。彼がロシア語を学んでいた時の話によると、人を雇ってロシア語の暗唱を聞いてもらっていたそうだ。ちなみに、その雇った人というのはロシア語ができるわけではなく、シュリーマンによると、ロシア語の「1つづり」も知らなかったらしい。相手が理解できるかどうかにかかわらず、彼は自分の音読をとにかく誰かに聞いてもらうことを重視していたことがわかる。
音読が大切なことは誰でも知っていることだが、長続きできる人は意外と少ないのではないだろうか。音読というと誰でもできる簡単な方法のように思えるが、1人で地道に毎日音読を繰り返すのは相当な根気がいる。誰かに強制されるわけでもなければ、面倒になってやめてしまうのも当然のことだろう。シュリーマンはその危険を察して、毎日音読に向かわざるを得ない環境を自ら作り出したのだろう。
今回は音読のことだけになってしまったが、シュリーマンの語学習得法はそれ以外にも注目すべきものがいくつかある。次回はそれらを詳述していこう。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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