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相場展望7月15日 米FRB内部で『雇用・インフレ』矛盾発露 8月上旬までは株式市場は揺れながらも堅調予想
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/12、NYダウ+126ドル高、34,996ドル(日経新聞)
・今週から、決算の発表シーズンが始まる。発表の先陣を切る大手金融株を中心に、決算発表を先回りした買いが入った。経済活動の再開を背景に米主要企業の4~6月期は好業績が見込まれている。
・金融株以外の景気敏感株・半導体関連株にも買いが入った。
・ただ、7/9にNYダウが+448ドル上昇し、高値警戒感がくすぶり、相場の上値は重かった。
【前回は】相場展望7月12日 決算発表への期待で、米国株・日本株は上昇か
2)7/13、NYダウ▲107ドル安、34,888ドル(日経新聞)
・航空機製造大手のボーイングが機体の一部修正と生産引き下げとの発表が嫌気され、1銘柄でNYダウを▲65ドル押し下げた。
・金融大手銀行が好決算を発表したが、既に織り込み済みとして反落した。
・ただ、今月後半に控える4~6月期決算への期待からの買いが入り、下支えした。
3)7/14、NYダウ+44ドル高、34,933ドル(日経新聞)
・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けて、金融緩和の長期化観測が強まり、株式市場に資金が更に流入するとの期待が高まった。
・ただ、石油株と金融株が売られたのが重荷となり、相場の上値は重かった。
・パウエル議長は、金融政策を変更する前に『景気回復が一段と進む必要がある』と述べた。
・パウエル発言を受け、長期金利が低下したにもかかわらず、ナスダック総合や半導体関連株は下落した。
●2.米国株、インフレ懸念への芽が強まるかに注目
1)長期金利、底打ちから反転上昇へ? 7/14はパウエル議長発言で低下も一時的か
7/08 7/13 7/14
10年国債利回り 1.293% 1.418 1.349
2)VIX(恐怖)指数、NYダウ高水準横這いながら、VIX上昇トレンド入りか?
7/02 7/13 7/14
VIX指数 15.07 17.12 16.33
NYダウ 34,786ドル 34,888 34,933
3)CRB(商品先物)指数、直近高値に再挑戦
7/02 7/07 7/13 7/14
CRB指数 214.95 209.20 214.12 213.38
4)6月CPI(消費者物価指数)は前年比+5.4%
5)6月PPI(生産者物価指数)は前年比+7.3%
●3.米国の『雇用』と『インフレ』に関して、FRB内部で矛盾した見解公表
1)見解の相違点
(1) 地区連銀報告:雇用は力強く拡大し、インフレは高進も
(2) パウエル議長:量的緩和縮小はまだ先、景気回復完了まで支援継続
2)米国では、GDP成長率+7%と力強い経済回復で、人手不足となり賃金上昇しても雇用を充足できない状況となっている。一方、失業給付の追加金額が多額なため、就業した方が収入が減るという状態が続いている。
3)地区連銀報告では、米国経済の高成長からくる『雇用』と『インフレ』懸念を公表。しかし、FRBトップのパウエル議長は、『雇用はパンデミック前まで回復していない』と『雇用回復中心の金融政策維持』を主張し、かつ『インフレは一過性』とインフレ問題を一蹴している。CPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)の高騰を、いつまで『一過性』と一蹴できるのか、物価に占める影響の高い (1)原油、ガソリン価格 (2)家賃 (3)自動車価格は高騰しており、特に家賃は下方硬直性があり来年も更に上昇する見込みである。パウエル議長の根拠は、はなはだ疑問である。
4)FRBの上層部と、地区連銀の見解の矛盾が表面化した。FRBの金融政策決定をするFOMCでの投票権者13人のうち、現在では『金融緩和縮小』派が増え、半数近くになってきているという。現状維持派は、FRBトップのパウエル議長と、発言力の強いNY連銀総裁などである。が、現状維持派の投票者数は減少してきているもよう。
5)8月のジャクソンホールでのFRB会合や、それ以降のFRBおよびFOMCの会合に注視したい。米金融政策の転換は確実に近づいてきているように思える。
●4.米連銀報告で、『米経済回復で雇用は力強く拡大し、インフレ高進も』(ロイターより抜粋)
1)米連邦準備制度理事会(FRB)は、7/14公表の地区連銀経済報告(ベージュブック)で、
(1)米経済の強含みを受け、7月初旬まで幅広い分野で『雇用が増加』しており、特に高い技術を必要としない職種でその傾向が顕著に表れているとの認識を示した。
(2)一方で、物価も力強く『平均を上回るペースで上昇』していると指摘。一部の企業はインフレ圧力は一過性だと捉えているが、『大半の企業は今後数ヵ月間で、仕入れコストや販売価格が一段と上昇すると予想』しているとした。
●5.米6月消費者物価指数(CPI)前年比+5.4%と、予想+4.9%・前月+5.0%を上回る
1)米労働省発表のCPIは、6月鈍化予想に反し拡大し、2008年来で最大の伸びとなった。
2)変動の激しい燃料や食料品を除いたコアCPIは、前年比で+4.5%と、1991年7月来で最大の伸びを記録した。
3)インフレが予想外に上昇したことを受け、米国債相場は続落、利回りは上昇した。(フィスコ)
●6.米6月生産者物価指数(PPI)は前年比+7.3%と、予想+6.7%・5月+6.6%を上回る
1)6月の伸びは前月比、5月+0.8%からの鈍化予想に反して、1月来で最大となった。前年比では+7.3%と、2010年来で最大の伸び。
2)変動の激しい燃料や食品を除いたコアPPIは、前年比では+5.6%と、予想+5.1%・5月+4.8%から予想以上に拡大し、それぞれ2010年以降で最大を記録した。前月比でも+1.0%と、予想+0.5%・5月+0.7%から伸びが拡大した。(フィスコ)
●7.パウエルFRB議長の議会証言7/14
1)議会証言の骨子『量的緩和縮小は、まだ先、景気回復完了まで支援継続』(ロイター)
(1)FOMCは今後の会合で、国債購入の協議を継続する。(フィスコ)
(2)金融政策は慎重な姿勢を維持。
(3)一段の著しい進展に達するには程遠い。
2)予想以上のインフレ指標(CPI、PPI)にもかかわらず、FRB議長の見解を受け、市場では早期の緩和縮小観測が後退した。
●8.バイデン大統領は7/9、IT大手規制含む米経済の競争促進に関する大統領令(IT mediaより抜粋)
1)過去の悪質な合併としては、フェイスブックによるインスタグラムの買収が挙げられる
2)データ蓄積に関する規則確率。
・大手プラットフォームによる中小企業との不当競争の禁止。
3)ネット中立性の復元
4)携帯電話の修理の制限撤廃
・アップルによるiPhone修理を標的にしている。
●9.企業業績
1)ウェルズ・ファーゴ 4~6月期純利益は60億ドルと市場予想を上回った(ロイター)
貸倒引当金の戻し入れで増益となった
消費者が借入を控えたため、融資残高が大幅減(ブルームバーグ)
2)シティG 4~6月期純利益は61.9億ドルと市場予想を上回る(ロイター)
3)ブラックロック 4~6月期純利益15.5億ドル、運用資産が過去最高(ロイター)
従業員の働きに報いるため基本給を8%増 (ブルームバーグ)
●10.EU
1)仏当局、グーグルに約650億円制裁発表、記事使用料の交渉を巡って(NHK)
2)欧州委員会は、EV加速のため、2035年にハイブリッド車も禁止へ提案(朝日新聞)
自動車業界は反発(共同通信)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/12、上海総合+23高、3,547(亜州リサーチ)
・中国人民銀行(中央銀行)は7/9、預金準備率の▲0.5%引き下げを発表し、資金供給効果は1兆元(約17兆円)に達する見通し。引き下げ自体は予想されていたが、対象と規模が事前予想を超えた。
・金融当局の緩和スタンスが好感された。
・業種別では、レアアースや非鉄、鉄鋼など素材関連の上昇が目立った。ITハイテク関連株も高い。反面、不動産株の一角は安い。
2)7/13、上海総合+18高、3,566(亜州リサーチ)
・中国人民銀行の金融緩和スタンスが、引き続き相場を支える流れとなった。
・6月貿易統計の改善も追い上げとなった。
・ただ、ハイテク株の下げが重石となっている。
3)7/14、上海総合▲38安、3,528(亜州リサーチ)
・重要指数発表を7/15に控え、買い手控えムードが強まった。4~6月期GDP成長率、6月小売売上高、6月鉱工業生産
・金融株が下げを主導し、不動産・自動車・公益・ハイテク・素材・運輸・防衛関連株が売られた。反面、医薬品株が買われた。
●2.中国の6月貿易統計、輸出+32.2%・輸入+36.7%増(ロイター)
1)ロックダウン(都市封鎖)の緩和や、ワクチン接種の進展を背景に、海外から旺盛な需要があった。
●3.中国・上海ベビー用品大規模見本市7/14~16開催(NHK)
1)日本の紙おむつメーカーで多くの関心を集める。日本の中小企業からは、子供用靴や、口に入れても大丈夫なクレヨンなどを展示。
2)中国共産党は今年5月、産児制限を緩和し、夫婦1組で子供3人までもうけることを認める方針を示した。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/12、日経平均+628円高、28,569円(日経新聞)
・米国株高と、好調な外需に牽引され企業業績が改善するとの観測が支えとなった。
・内閣府発表の5月機械受注額統計では、前月比+7.8%増とQUICK予想値を上回った。
・日経平均を急伸を牽引したのは、先週に先物を売り込んだ海外投機筋などによる買い戻しが中心だったとみられ、前場に朝方から急上昇した後、後場は売り圧力もあり、株価は高水準ながら方向感に乏しい展開となった。
2)7/13、日経平均+149円高、28,718円(日経新聞)
・米国株高の流れを受け、東京市場でも主力銘柄への買いが優勢だった。
・4~6月期決算の発表が本格化するが、市場では製造業を中心に外需が牽引役となって業績の上方修正が期待できるとの見方が根強い。
・前日の上げ幅が大きく、戻り待ちや利益確定売りも出やすかった。
3)7/14、日経平均▲109円安、28,608円(日経新聞)
・前2日間で+700円超上げたことで、戻り売りが優勢となった。
・コロナ感染再拡大の懸念が相場の重荷となり、下げ幅は一時▲200円超となった。
・一方、業績期待が強い銘柄には買いが入った。
・パウエルFRB議長の議会証言を控え、様子見ムードが強まった。
●2.日本株 ⇒ 外人投資家が買い転換するか注視
1)先物手口: みずほ1人買いvs野村・外国人売りの構図 ⇒ 強いとは言い切れない状況
野村 7/14 ▲1,855売り
外国人 7/12 残142,487 7/14 146,384 7/12~14 ▲2,567枚の売り
日経平均 +668円の上昇
2)年初来高値・安値株数の推移 ⇒ 売りから、買い優勢に転換したイメージ
7/09 7/12 7/13 7/14 7/12~14計
高値 18 79 104 91 274
安値 350 7 2 6 15
●3.5G活用し、仮想現実で歯科手術(インプラント)の遠隔指導の実証実験(NHK)
●4.企業動向
1)三井住友FG 米証券会社のジェフリーズと資本業務提携を検討(ロイター)
内容は、傘下の三井住友銀行が株式の5%を取得することで進行
三井住友FGは、海外事業を強化している。
インドのノンバンクのフラートン・インディアの買収
ベトナムの消費者金融大手のFEクレジットへの出資
フィリピンの銀行大手リサール商業銀行への出資
2)米グーグル 決済事業強化で、スマホ送金を手掛ける日本企業買収へ(NHK)
3)日立製作所 米新興IT企業96億ドル(約1兆円余)で買収手続き完了(NHK)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4502 武田薬品 業績堅調、コロナワクチン供給。
・5401 日本製鉄 鉄鋼価格上昇期待。
・6289 技研製作所 災害対策強化に期待。
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