「ファクターX」が不明でも、新型コロナの脅威は日本と欧米で全く違う! (下)

2021年7月3日 09:22

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 前頁に掲載した日本の1カ月平均死亡者数に、1年間の月数(12)を乗ずると9,864人となり便宜上、年間の死亡者数に擬すことが出来る。日本ではインフルエンザによる死亡者数が、年間でおよそ1万人と伝えられて来たので、新型コロナウイルスによる死亡者数は概ね毎年襲って来たインフルエンザと、同等ということになる。

【前回は】「ファクターX」が不明でも、新型コロナの脅威は日本と欧米で全く違う! (上)

 逆に、20年から21年にかけて新型インフルエンザの感染はほとんど確認されていない。手洗いやうがいが徹底されたことが、期せずして新型インフルエンザの感染抑止になったと見られている(厚労省の発表によると、3月1日から7日までのインフルエンザ報告数は26件だったが、前年同期は2万3,605件だった)。

 厚労省の推定では、例年インフルエンザの感染者は国内で約1000万人とされている。これに対して、20年1月~21年6月までの新型コロナの感染者数は76万7,275人である。この感染者数を18で除して12倍すると1年間と看做せる感染者数が51万1516人となる。

 インフルエンザの場合は、ワクチンが例年2500~3000万本程度供給されてきたから、概ね国民の2割程度に接種の機会が提供されてきたことになる。これに対して、新型コロナの場合は、1回以上のワクチン接種をした人数が国民の1%を超えたのが4月16日なので、6月末日までに重症化を防止する機会は非常に少なかったと見ていいだろう。

 つまり、インフルエンザの場合は国民の2割程度がワクチン接種で防御していたのに対して、新型コロナの場合はワクチン接種の機会に恵まれず、ほとんど丸腰で対峙したことになる。新型コロナの場合は社会的な危機感が極限まで醸成されていたため、単純な比較は出来ないにしても、結果として死亡者数に大きな差異は出ていない。ここから導き出される推論は、手洗いうがいとマスク着用、3密回避を励行すると、インフルエンザ程度の被害に抑えることが可能だということだ。
 
感染症の専門家として、マスコミによく登場する「危機感に溢れた専門家」と、一線を画す専門家も多く存在する。ところがそうした専門家が「冷静な対応」を呼びかけても、放映されることはなく、その後見解を聞かれることもないという。

 テレビの番組作りも視聴率ありきのようで、ワイドショーの出演者の発言はニュアンスに差があるにしても、危機感を煽る立場がほとんどだから、視聴者の不安は高まるばかりだろう。

 ファクターXはまだ解明されていないが、何らかの要因が日本人に有利に働いていることは間違いなさそうだから、マスコミの煽り報道に動揺せずに自信を持って、新しい生活習慣を実践することが大切だ。新型コロナの死亡者数がインフルエンザと大差ないのに、経済活動に制限を設け続けるのは、明らかに過剰反応ではないのか?(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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