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中国・長城汽車、タイ市場にEV投入 日本車に対抗
3月24日から4月4日までの日程で、バンコク・モーターショーが開催される。各国の主要メーカーから多くの車種が出展されているが、中国のGREAT WALL MOTORS(長城汽車)が発表したEV販売計画は、日系メーカーにも影響を与えそうだ。
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世界中で蔓延する新型コロナウイルスだが、タイでは政府主導で対策している成果もあり、3月に入って1日当たりの新規感染者は50人から100人程度と落ち着いている。このような状況から、感染防止対策を徹底することで、バンコク・モーターショーの開催が可能となった。
今回出展している自動車メーカーは数多くあるが、やはりタイには古くから日系メーカーが進出して大きな市場としているため、トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、三菱自動車、スバル、マツダ、スズキ、いすゞといった日系メーカーがずらりと集結している。
また日本車の土壌が完成していることから、日本では発売されない高野自動車用品製作所が販売するTAKANOというブランドまで、タイにはある。
このように、タイと日本車とは切っても切れない状況であり、しかもタイで生産される日本車は、東南アジア諸国に輸出されている。
ここに目を付けたのが、中国でEVを展開している長城汽車だ。すでにタイでは、EVを中心とした車種の発売を発表している。その背景には、プラグインハイブリッドの需要がタイで急速に伸びていることがある。
現在、タイで主要を占めるのは日系自動車メーカーとその生産工場だが、長城汽車は、将来的にEVが主要なクルマとなると見込み、タイで2023年度中にEVの生産を開始すると発表した。
すでに州のエネルギー当局や不動産開発業者、ショッピングモールと提携を結び、充電施設の拡充を開始している。
またタイ政府も、これからのタイ自動車産業は高い可能性を秘めていると述べ、新世代の自動車を支援するとも発表した。
長城汽車は今後、タイを起点に輸出販売を拡充してきた日系メーカーに習い、EVをタイで生産し、各国に輸出する計画を立てているという。
もちろん、日系メーカーも黙っているわけではなく、トヨタモータータイランドの笠原武副社長は、タイ市場向けに新しいEVを発売する計画があるとも話している(Bangkok Postより)。
タイの国民は、ブランドイメージを強く意識しているため、どこまで長城汽車が販売を伸ばせるかは未知数だが、中国のしたたかな戦略を甘く見ると、タイの自動車市場で日本車がシェアを奪われる可能性もあるだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)
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