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江戸前蕎麦の御三家の1つ、砂場の蕎麦を楽しみに・・
昨年10月末に路上で転倒し利き腕(右)の肘頭を骨折したことは、11月9日付けの企業・産業欄の『看護師確保に打たれている施策を垣間見た』と題する拙稿で吐露した。
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未だ右腕が曲がる角度は105度弱。痛~いリハビリに耐える日々が続いているが、箸で食べ物を口に運べない。フォーク・スプーンでの食事。何か回復までの支えはないものか、「好きな蕎麦を箸で食べたいな」という思いが日を追うことに募った。
知り合いの脚力のある女性記者に「旨い蕎麦屋を探しておいてくれ」と頼んだ。3日と過ぎないうちに「(東京メトロ:三越前駅近くの)室町砂場は、美味しい。取材に乗じてご馳走になった実感」という連絡が入った。
蕎麦通?の私は「砂場」が「更科」「藪」と並ぶ、江戸前の3大蕎麦であることは知っている。が「室町砂場」の蕎麦を口にしたことはない。女性記者に電話取材した。以下のようなことを知った。
★「天ざる・天もり」発祥の店。
★5人の蕎麦職人が、店内で打った自家製蕎麦を出している。
★打った蕎麦を、天婦羅を天つゆに浸したまま供する。
★天婦羅は、東京湾でとれた桜エビと青柳の貝柱を使ったかき揚げ。
★天婦羅は100%に近いごま油を使用。実際に食した女性記者の言葉を借りれば、「ゴマの風味とそばつゆの味わいが、同時に口の中に溢れる」とか。
原稿を書きながら、口の中の唾液を思わず飲み込んでしまった。
★天ざると天もりでは、蕎麦の種類が違う。前者は、喉越しがよく癖のない更科蕎麦が使われる。打つ際につながりづらく、全卵をつなぎにする製法。後者は、全層粉(ぜんそうふん)を使って打った挽きぐるみ粉とやらが使われている。「蕎麦特有の風味が楽しめる」のが特徴とか。
★季節限定の商品も豊富。例えば「あられ蕎麦」。暖かい蕎麦の海苔の上に青柳の貝柱をのせた代物。「いまどきから4月までの限定品。箸が使えるようになるかしら」とからかわれた。「変わり蕎麦」。桜のシーズンに、桜の花びらの塩漬けを混ぜた逸品とか。例えば「蕎麦ぜんざい」。「知っている。多くのそば粉をこねて餅のようにした蕎麦がきを使うやつだろう」としたら、「いいえ。更科蕎麦をあえて蕎麦の形のままの蕎麦がきを使っている」とのご託宣。
教えて貰うのではなかった、と思ったが既に後の祭り。だが人間なるもの、「苦」と戦わざるを得ないとき踏ん張るための「励み」が不可欠。1日でも早く箸が使えるようになって「室町砂場」に行くことを楽しみに耐えるしかない・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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