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英語力は昔の方が高かった? 数々の偉人を生んだ札幌農学校の英語教育とは
今日では旧5千円札の肖像として認識されている新渡戸稲造だが、彼が並外れた英語力を持っていたことを知っている人はいるだろうか。新渡戸稲造は札幌農学校の出身でありそこで英語を学んでいる。
同校の卒業生には他にも内村鑑三、有島武郎、武信由太郎など英語英文学の分野に貢献した人物が名を連ねている。
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英語での著作物を出版した新渡戸稲造のよう人物を輩出した、札幌農学校の英語教育にはどのような秘密があったのだろうか。
「北海道大学付属図書館 展示アーカイブ」の資料によると、札幌農学校で取り入れられていた英語教育は現代のそれと比べても、かなり高度にシステム化されていたようだ。4期生の英語を担当したサマーズは英語学習において以下の4点が効果的だったと報告している。
■Reading(読む)
「学生に読ませ、発音の間違いを直した。ところどころ、不適切な文法やよい文章に解説を加えた。」と報告されている。
これは現在の音読にあたる部分だろう。「教科書のテキストをただ読んで終わり」ではなく積極的に発音強制を行っていたようだ。
■Composition(書く)
「コメントを挟みながら口述筆記をさせた。口述筆記は効果的であった」と報告している。
「聞く・話す・読む・書く」の4つの基本スキルにおいて最も難しいのはライティングといえるだろう。ましてや第二言語を口述筆記するというのは簡単ではない。現在中学高校の英語の授業でここまでハイレベルな授業は行われているだろうか。
■Rhetoric
「論文や文学的な文章の記述ができるようになるために、文章の書き取りと内容理解をさせた。内容に触れること自体も重要とした。」
レトリック(修辞法)とは「比喩」「倒置法」「擬人法」「体言止め」などの総称である。より表現方法を豊かにする為のものといえるだろう。
■Elocution
「名文を繰り返すことで英語のスタイルに慣れ、発音がよくなり、英語という言語の本質 を掴むことを目指した。」と報告されている。
今日では、例えば映画のセリフなどを何度も暗唱するなどがこれにあたるだろう。
すでに気付いた方もいるだろうが以上の内容は、情報が簡単に入りツールが豊富な今日では簡単に取り入れることができるメソッドである。
それなら、格段に便利になった2020年現在はもっと英語が話せる日本人で溢れているはずだ。しかし実際はご存じの通りだ。むしろ英語のみならず日本人の学力は時代と共に低下しているのではないかとさえ思えてしまうのは気のせいだろうか。
学びに重要なのは環境やツールよりも、その意志ではないだろうか。逆に言えばその意志さえあれば人はいつでもどこでも学べるのである。(記事:newpowersoul・記事一覧を見る)
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