コロナ禍の「住まい」のあり方とは? 住宅メーカーの調査結果に異変が

2020年12月6日 21:03

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記事提供元:エコノミックニュース

新型コロナウイルスの蔓延で世界中が混乱した2020年も、残すところあとひと月。未だ収束が見えず、日本でも11月に入ってから連日感染者数が増加しているが、一方では、米ファイザー製薬と独ビオンテックが、共同開発中の新型コロナウイルスワクチン候補「BNT162b2」の試験で90%を超える予防効果を確認したという発表もある。もちろん、新薬の早期実用化については慎重論もあるものの、それでも一歩ずつ確実に前に進んでいるのは間違いないだろう。来年こそはコロナウイルスを克服できるものと信じたい。

 とはいえ、たとえワクチンが実用化され、一定の効果を発揮したとしても、すぐに以前のような生活に戻ることは難しいだろう。しばらくの間はやはり、社会的距離を保ちながら、各々が感染予防に十分な注意を払う必要がある。また、緊急事態宣言解除後も継続されている企業のリモートワークも同様だ。

 そこで、今後ますます重要になってくると思われるのが「住まい」のあり方ではないだろうか。

 緊急事態宣言が発令された当初は、生活リズムの急激な変化とストレスで「コロナ離婚」などという言葉も生まれたりもした。いくら夫婦や家族でも、普段以上に顔を合わせる時間が多いと衝突も起こりやすくなってしまう。でも、自粛生活も長期にわたり、そろそろ自宅時間にも慣れてきた頃。家庭での役割分担や、家庭内でのお互いの距離感、意識にも変化があったのではないだろうか。

 これについては、木造住宅メーカーのアキュラホームがとても興味深い調査を実施し、公表しているので、少し紹介しておきたい。

 同社の社内研究所であアキュラホーム住生活研究所では、緊急事態宣言中の5 月と、新しい日常が定着し始めた10月の2 回にわたって、従業員1000人を対象にアンケートによる「新型コロナウイルス感染症により変化する住まいのあり方 調査 」を実施した。顧客や一般ではなく、住宅のプロ。しかも、同社では、緊急事態宣言期間中、従業員は原則在宅勤務とし、現在もテレワークと出社を併用しているので、当事者でもある。彼らはコロナ禍の「住まい」のあり方をどう見ているのだろうか。

 調査内容は多岐にわたるが、特筆すべきものの一つは「住まいにあって良かったものランキング」だろう。 住まいにあって良かったものランキング堂々の1位は、玄関手洗い、抗菌グッズ、空気清浄機等の「ウイルス対策設備」だった。そして2位は「広い庭・バルコニー」、そして3位「モニター付きインターホン」、4位「浴室乾燥機」、5位「宅配ボックス」となっている。5月の調査でも10月の調査でも、このランキングの1位から5位までの番付が変わらないのが興味深い。それだけ必要性が高いものなのだろう。ちなみに株式会社リクルート住まいカンパニーが実施した「2019 年 注文住宅動向・トレンド調査」では、1位が「ウォークインクローゼット」、2位「カウンターキッチン」、3位「シューズクローク」、4位「パントリー」、5位「室内干しスペース」となっており、全く違っている。

 そして、もう一つ、面白いのが「在宅時間増加により、新たに取り組んだこと・大幅に費やす時間が増えたもの」という項目の結果だ。5月の調査時点では、1位「携帯を見る」、2位「炊事」、3位「掃除」だったものが、10月の調査では1位が前回9位だった「家族と過ごす」で、2位「掃除」、3位「携帯を見る」となっている。携帯で個人の世界にこもるよりも、家族間でコミュニケーションを図ること、さらには家族で過ごす空間をキレイに保つことが、新しい生活の最も重要な「住まい」のあり方だと、皆が気づきはじめたのかもしれない。

 また、その一方では、女性の家事時間はコロナ禍で増える一方であることや、太陽光発電設備のない家庭では光熱費が増大していること、オンライン生活に柔軟に対応できているのは若者世代で、シニア世代はまたリアルなコミュニケーションに戻りつつあるなど、今後の課題なども浮き彫りとなっている。

 アキュラホームでは、この調査結果をこれからの新しい住まいの考え方の参考資料として活用してもらうことを目的としているそうなので、これから新築やリフォーム、引っ越しなどを考えている家庭はとくにチェックしてみてはいかがだろうか。

 2021年を明るい年にするためにも、この年末は今一度、家族のあり方、住まいのあり方を家族みんなで見直しておきたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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