関連記事
ソフトバンクG傘下企業が「レオパレス21」に求める14.5%の貸出金利、支援と呼べるのか?
11月には英語や中国語など5言語でのホームページを開設したレオパレス21だが・・(画像: レオパレス21の発表資料より)[写真拡大]
レオパレス21が瀬戸際に追い込まれている。同社は18年5月に建築基準法違反が発覚した時点では、35%を超える高い自己資本比率を誇り、事業継続に何の支障もないとしていた。しかし、補修工事が遅々として進まないことが、入居率の低下につながって資金流失が続き、20年3月期決算では、連結売上が4335億円(対前期比716億円減)、純損益が802億円の赤字となってた。
【こちらも】レオパレスの施工不良問題、ワンマン体質が原因 調査委員会が指摘
同社の主業は賃貸アパートの所有者(オーナー)から賃貸物件を一括で借上げ、入居者を見つけて転貸するサブリース業である。アパートの入居者から集めた賃料をまとめて、当初オーナーと締結した契約に基づく定額賃料を支払わなければならない。オーナーの多くは同社の勧めで借金し賃貸アパートを建設しているから、定額賃料こそが大事な返済財源なのだ。同社の支払いが滞れば、日本全国でレオパレス21とサブリース契約をしているオーナーの返済に、支障が出ることは明らかだ。
同社の入居率の損益分岐点は80%程度と見られていたが、実際にはもう少し高かったようだ。問題発覚以前には、高い入居率を誇って悠々たる経営を行っていたが、じりじりと下がり続けた入居率が20年3月期に危険水域の80.78%となった時点で、自己資本は13億円となり既に資金的な余裕を失っていた。
9月25日には、20年4~6月期の最終損益が120億円超の赤字(前年同期は57億円の赤字)となり、6月末時点で100億円を超える債務超過となったことが報じられた。ちなみに9月末の入居率は78.09%であり、入居者数の減少に歯止めが掛かっていないことが分かる。
貸出金利は借手の信用状況を端的に表す。資金がだぶついている昨今、営業基盤が万全で事業継続に不安がないと評価される企業は、1%を下回る金利で借入することが可能だ。経営内容が悪い先はもっと高い金利を要求されるが、それにしても銀行からの借入であれば2~3%程度がいいとこだろう。同社がやっと見つけてきた金主は、孫正義氏が率いるソフトバンクグループ(SBG)傘下の、米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」だ。
貸出金利は利息制限法で15%という上限が定められている。レオパレス21はフォートレスから総額572億円の拠出を受け、うち300億円は新株予約権を付した融資となり、金利は14.5%だという。入居率が改善されれば10%に軽減される望みもあるようだが、いずれにしても”街金”なみのべらぼうな高利である。
フォートレスがSBGの傘下であるとは言っても、米国の公的な規制によりフォートレスの投資方針に、SBGが介入することは出来ないという”建前”はある。だからと言って、傘下企業がSBGを全く意識しないで、意思決定していると看做すことはお目出度すぎるだろう。SBGを率いる孫正義代表の持論である”群戦略”は、”自律的に意思決定を行い、資本関係と同志的結合でシナジーを創出する”ことを求めているのだから、「言わなくても分かるな!」ということだ。
SBGの素顔を垣間見たような気になっても、不思議はないだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
スポンサードリンク