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東京海上日動の中小企業向け事業継承用「M&A保険」とは
民間調査機関のレポートで「休廃業・解散、(中小)企業増加」といった現実を見聞きする機会が増えた。主たる要因として「後継者の不在」が指摘されている。
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具体的に東京商工リサーチの調べによると、2014年には3万3475件だったものが、18年時点では4万6724件に増加しており「中小企業経営者の高齢化などにより事業継続を断念せざるを得ない企業が増えていることが原因と推察される」と解説されている。こうした状況に加え昨今では、「新型コロナウイルス禍」という要因が事態に拍車をかけている。
ちなみに「休廃業」は、とりたてた手続きは取らず資産超過状況で事業を停止。解散も基本的には資産超過だが、解散後に債務超過が判明し「倒産」扱いとなることもある。
後継者不在の場合、事業継続の方法として「M&A」が注目を集めている。「事業継承のためのM&Aで実績」を謳う、M&A仲介業者も少なくない。
甚大なコロナ禍が加わり、立ちゆかなくなる中小企業の事業継承を支援する「中小企業成長促進法」が10月1日に施行された。
だが一口にM&Aによる事業継承と言っても、「右から左へ」という容易なものではないようだ。保険の存在が、それを物語っているともいえる。具体的に記す。
東京海上日動火災保険は、2020年1月に業界初の「国内M&A保険(★)」-日本語で引受審査や証券発行を行う「表明保証保険:M&A用語:売主の表明保証違反によって生じた損害を補償する保険」を販売した。また8月には標準保証条項を活用した中小企業向け表明保証保険「M&A NEXT(■)」を販売した。
いずれもM&Aのリスクに関する保険。が、「★」は企業情報を把握するデューデリジェンス(企業調査、以下DD)の実施を前提とするため、費用の問題や専門知識・経験がある専門家が限られていることなどで、小規模なM&Aに対しては保険を適用することができなかった。対して「■」は対応が可能となった。
具体的には日本M&Aセンターのグループ企業:バトンズ(M&A総合支援プラットフォーム/バトンズを運営)と連携し、仕組み・商品を構築。
書いていても頭の中に「難解」の2文字が常にあった。広報部では、こう噛み砕いてくれた。「DDには買収対象企業のリスクを洗い出し、買収後のトラブルを減少させる効果がありM&Aの重要なプロセスの1つ。しかし中小企業のM&A、特に小規模なM&AではDDが実施されていない。対象企業を十分に調査できていないまま買収に至るケースが多い。買収前の適切なDDと買収後の表明保証保険の補償セットにすることで、(小規模)M&Aのトラブルを減少させ円滑な事業継承を目指す意味で開発した」。
中小企業の円滑な事業継承は、日本経済の土台構築に不可欠である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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