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実践トヨタ生産方式 (3) 「メカニズムとして理解」すれば、物販・サービス業でも生き残れる
筆者は、「トヨタ生産方式」の考え方を「物流産業」で試して、20年ほど前「提案型販売」として理論をまとめた。テスト営業は物販の店舗だった。
【前回は】実践トヨタ生産方式 (2) 効果は絶大 総資金量は激減 トヨタバンク誕生
通常、仕入れは【売れるかもしれない商品を売れるかもしれない量だけ仕入れる】ことになる。コンビニのようなシステムでも、昔ながらの個人商店でも、精度の違いは出るが同じことだ。それを、【売りたい商品を、売りたいだけ仕入れ、売ってしまう】に変えたのだ。「商品を山と積み、購買意欲を掻き立てる」ドン・キホーテの販売方法とは逆の発想だ。すると、「仕入れより売り方の精度を要する」ようになった。たくさんの商品で購買意欲を掻き立てる替わりの技術が必要になったのだ。
その技術を手に入れるには、「宣伝広告技術・ディスプレイ技術」の開発が必須だった。スーパーのチラシのような広告、ディスプレイ方法では効果は期待できない。「顕在・潜在」市場全体を合わせて把握分析し、【潜在市場に働きかける】のだ。
通常、市場の大部分は潜在市場であるからだ。言い換えると「潜在している顧客のライフスタイルに働きかける」と言って良いだろう。宣伝と商品、ディスプレイなどの技術がうまく噛み合うと、資金効率は物販でも数倍になる。つまり、「同じ資金量で数倍の店舗を持てる」効果となった。
「トヨタ生産方式」の「中間在庫を徹底的に減らす」を応用したのだ。物販では常識外の手法だった。製造業では生産工程があるため、物販の商品仕入れからよりもかなり多くの在庫を必要としている。そのため材料仕入れから、売上げに至るまでのリードタイムが長大になる。
だから、「トヨタ生産方式」によって総資金削減に効果を上げる度合いが巨大である。それに比較して、物販ではそれほど巨大な効果は見られないが、それでも数倍になる可能性があるのだ。だが、「物販で広告を常時必要とする運営」は、関係者のかなりの抵抗感があったように思う。
しかし、後にアマゾンがネット販売で確立した「ロングテール現象」などを実店舗で実現することができていた。提案型販売によって、「売れ筋商品」が激変することも証明できた。これらの技術によって「自動車のセールス」を変化させるに十分な内容があると考えているのだが、現在の「営業効率」を重視する概念では、売る側、つまりセールス側の都合で言動するため、逆に市場の縮小を招いてしまっている。人口が減り、縮小していく市場においては、「提案型販売」が潜在市場に働きかけるため非常に有効な手段だ。
こうして(株主にとって最重要な)資金効率の面で、「トヨタ生産方式」はどのような業種・業態でも応用が利く。その概念、つまり考え方を「メカニズムとして理解」してしまうことだ。それには、執念にも似た「前へ進む気概」が基本なのだ。
続きは:実践トヨタ生産方式(4) 生産技術は「重量」で様変わりする 「重量物を動かすな!」(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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