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花王、利益ある成長により8期連続最高益更新と31期連続増配に挑む
花王は5月7日、北里大学大村智記念研究所、医療スタートアップ企業のEMSと共同で、新型ウイルスの感染抑制能力があるVHH抗体の取得に成功したと発表した。将来、新型コロナウイルス感染症の治療薬や診断薬の開発につながることが期待される。
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花王は1887年、長瀬富郎が「長瀬商店」を創業し、石鹸や輸入文房具を販売したのが始まりである。長瀬は国産石鹸の開発に着手し、試行錯誤を重ねて高級化粧石鹸「花王石鹸」を発売した。肌に優しく安心して顔を洗えることで、「かお(顔)石鹸」から「花王」という字をあて商品名とし、後に社名となった。
創業時から顧客の声に耳を傾ける「消費者起点」を大切にし、事業領域を清潔、美、健康へと広げて発展してきた。
2019年12月期の売上高は1兆5,022億円。事業別の構成比は、衣料用洗剤・洗濯仕上げ剤・キッチン/バス/トイレ/リビングケア製品のファブリック&ホームケア事業が23.9%、スキンケア製品・ヘアケア製品・ヘアーサロン向け製品のスキンケア・ヘアケア事業が22.7%。以下、カウンセリング化粧品・セルフ化粧品の化粧品事業が20.1%、飲料・サニタリー製品・オーラルケア製品・入浴剤・温熱シートのヒューマンヘルスケア事業が17.0%、油脂製品・機能材料製品・スペシャルティケミカルズ製品のケミカル事業が16.3%を占める花王の動きを見ていこう。
■前期(2019年12月期)実績
前期売上高は1兆5,022億円(前年比0.4%減)、営業利益は前年よりも40億円増加で7期連続最高益更新となる217億円(同1.9%増)であった。
営業利益増加の要因としては、日本、アジア、欧州で順調に拡大した化粧品が107億円の増益。また日本でヘアカラーが好調だったスキンケア・ヘアケアが7億円、日本で衣料用洗剤が伸び、米国で買収により増益になったファブリック&ホームケアが5億円、高付加価値化によりケミカルが2億円の増益となった。一方、紙おむつが中国で価格競争が激化し、元安、マーケティング投資増でヒューマンヘルスケアが107億円の減益であった。
■中期経営計画(2017年~2020年)による推進戦略
新型コロナウイルス感染拡大の影響でインバウンド需要が減少する中、今期第1四半期(1-3月)実績は、売上高3,378億円(前年同期比2.6%減)、営業利益393億円(同2.8%増)であった。
今期は売上高1兆5,100億円~1兆5,300億円(前年比0.5%~1.8%増)、営業利益2,200億円~2,300億円(同3.9%~8.6%増)を目指して、次の戦略を推進する。
●1. 特徴ある企業イメージの醸成
持続的な利益成長と社会の持続的可能性に貢献する「Kirei Lifestyle Plan」により、人に、社会に、地球に優しい製品、サービスを提供する。
●2. 高収益グローバル消費財企業
利益ある成長により、営業利益の8期連続最高益更新を目指す。
●3.ステークホルダーへの高レベル還元
株主には31期連続増配、顧客とはWin-Winの最大化、社会的課題への先進的取組を推進する。
●4.事業別の推進
・化粧品は、グローバル戦略ブランド「G11」などの高付加価値化とEコマースの中国、アジア市場での拡大。
・スキンケアはUVケア商品と洗浄系商品の育成、ヘアケアはマス向けブランドとプレミアムブランドの両立によるブランド価値向上。
・ヒューマンヘルスケアは、サニタリー製品で肌の優しさ、快適さ、安心感を高める商品づくり。
・ファブリック&ホームケアは、家事負担を改善できる商品提案の強化。
・ケミカルは、高付加価値製品の開発。
利益ある成長により、2030年までに「グローバルで存在感のある会社」を目指す花王の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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