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手作りマスク用の素材、フィルター効率が高いのは?
手作りマスク用に入手しやすい素材のエアロゾルに対するフィルター効率について、米アルゴンヌ国立研究所などの研究チームが実験結果を発表している(ニュースリリース、論文、Mashableの記事、SlashGearの記事)。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)では症状の出ない感染者も多いことが判明し、これまで呼吸器感染性ウイルスの予防にマスクの使用を推奨していなかった米疾病予防センター(CDC)も同一世帯でない人との濃厚接触が避けられない場面で布製手作りマスクの使用を推奨している。CDCはマスクの作り方を紹介する記事で目の細かいコットンの生地を使うように説明しているが、素材によるフィルター効率についてはあまりわかっていなかった。
実験では手作りマスクによく使われるキルティング用コットン(80 TPI、縦糸と横糸の合計が1平方インチ当たり80本)のほか、より目の細かい600 TPIのコットンやキルティング生地(120 TPIのコットン2枚で中綿: コットン90%+ポリエステル5%+その他の繊維5%を挟んだもの)、フランネル(コットン65%+ポリエステル35%)、シフォン(ポリエステル90%+スパンデックス10%)、100%シルクなどの素材を使用。複数枚重ねや複数素材の組み合わせ、N95防護マスクやサージカルマスクを使用したデータも含まれる。
実験装置はエアロゾル発生装置で発生させた塩化ナトリウムのエアロゾルを混合室で空気と混ぜ、混合室の外側とをつなぐPVCパイプの混合室側にフィルター(マスク素材)を取り付けてブロワーで混合気を吹き付けるというもの。フィルターの両側で採取したエアロゾル粒子数に加え、呼吸しやすさを確認するため圧力差も測定している。混合気の流量は安静時を想定した1.2 CFM(立方フィート/分)と高活動時を想定した3.2 CFMの2段階。マスクがフィットしない状態を想定してパイプに2つの穴(直径0.635 cm)を開けた実験も行っている。
80 TPIコットンでは2枚重ねでも50%未満のフィルター効率しか得られなかったが、2枚重ねの600 TPIコットンや2枚重ねのシフォン、4枚重ねのシルクではサージカルマスクを一部上回るフィルター効率が得られている。600 TPIコットンにシフォン/シルク/フランネルをそれぞれ組み合わせた3種のハイブリッドタイプでは、いずれもフィルター効率が粒子サイズ300 nm以下で80%以上、300 nm以上で90%以上となり、300 nm以下ではN95防護マスクを上回っている。特にコットン+シフォンでフィルター効率が高かったようだ。また、キルティング生地でもハイブリッドに近いフィルター効率が得られたという。目の細かい生地のマスクは息苦しそうだが、呼吸しやすさには問題なかったとのこと。
ハイブリッドやキルティングでのフィルター効率が高いのは、目の細かいコットンによる機械的なフィルタリングとシフォン/シルク/フランネル/中綿の静電気による吸着が組み合わされた結果と考えられる。そのため、目の粗い素材は推奨されないとのこと。一方、パイプに穴をあけた状態の実験ではフィルター効率が50%以上低下する。実際にマスクがフィットしない状態を再現できているかどうかは不明だが、マスクを手作りする場合は素材の選択に加え、顔にフィットさせることも重要となる。
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