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パナソニック、3Qは減収も構造改革費用を事業売却益等でカバーして営業利益・純利益は増益に
パナソニック、3Qは減収も構造改革費用を事業売却益等でカバーして営業利益・純利益は増益に[写真拡大]
2019年度 第3四半期決算のポイント
梅田博和氏:本日はご多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、2019年度第3四半期決算概要についてご説明します。
はじめに決算発表のポイントです。第3四半期の売上高は減収となりましたが、調整後営業利益は、限界利益率の改善や固定費削減などにより、前年並。営業利益および純利益は、事業ポートフォリオ改革による構造改革費用を事業売却などでカバーし、増益となりました。
年間見通しについては、全社の売上高と、利益ともに変更ありません。セグメント別の見通しは、足元の経営状況、事業ポートフォリオ改革の影響を反映し、一部修正します。
2019年度3Q 連結業績
まずはじめに、第3四半期の決算概要についてご説明します。第3四半期の連結業績はご覧のとおりです。売上高は、1兆9,112億円。中国を中心とした投資需要の低迷や、自動車市況の減速、国内の消費増税の影響に加え、為替や特殊要因により、1,636億円の減収となりました。
調整後営業利益は、953億円です。減販損や為替影響がありましたが、限界利益率の改善や固定費の削減により、前年並となりました。営業利益は1,004億円で増益。純利益は772億円で、法人税などの良化も寄与し、増益となりました。
セグメント別 増減要因
売上高・調整後営業利益の主な増減要因について、セグメント別にご説明します。アプライアンスの売上高は、欧州でのテレビなどの減販、国内での消費増税の影響などにより減収となりました。利益は、ホームアプライアンスの増販益、テレビのコスト削減などによって増益となっています。
ライフソリューションズの売上高は、照明などの減販をIQA事業や住宅関連の増販でカバーし、前年並です。利益は、住宅関連の増販益や合理化効果により増益となりました。コネクティッドソリューションズは、中国などによる投資需要の低迷や、自動車市況の減速などによる実装機の減販が響き、減収減益です。
オートモーティブでは、円筒形車載電池が増収増益となりましたが、市況減速などによる車載機器の減販影響や、角形車載電池の高容量セル生産開始に伴う固定費増などにより、全体では減収減益となりました。
インダストリアルソリューションズは、中国市況の影響に加え、二次電池の中国での需給バランスの悪化や、郡山工場における台風被災の影響などにより減収減益となりました。
全体では、売上高は、アプライアンスおよびインダストリアルソリューションズを中心に、全セグメントで減収となり、特殊要因を除く実質ベースで、約4パーセントの減収となりました。
調整後営業利益は、アプライアンスとライフソリューションズの増益に加え、本社部門のコスト削減などにより、オートモーティブやインダストリアルソリューションズの減益をカバーし、ほぼ前年並の水準となりました。営業利益は、その他損益の改善もあり、28億円の増益となりました。
2019年度3Q セグメント別業績
セグメント別の実績はご覧のとおりです。詳細は次のページ以降でご説明します。
アプライアンス(製販連結)
最初に、アプライアンスの製販連結ベースです。売上高は、為替影響を除く実質ベースで減収となりましたが、調整後営業利益、営業利益とも増益となりました。空調冷熱ソリューションズは、ルームエアコンがアジア、欧州を中心に海外で堅調に推移したものの、収益性が高い日本の販売が暖冬により苦戦し、増収減益となりました。
ホームアプライアンスは、冷蔵庫や美容家電などが国内外で堅調に推移し、増収増益です。スマートライフネットワークの売上高は、日本での消費増税による影響の反動に加え、欧州を中心に、テレビやデジカメの苦戦が継続し、減収となりました。
利益は日本のOLEDの堅調な販売やコスト削減により増益でした。しかしながら、食品流通は、日米におけるショーケースの苦戦により減収減益となりました。
ライフソリューションズ
次にライフソリューションズです。売上高は前年並、利益は増益となりました。ライティングは、インドおよびインドネシアでの販売は堅調でしたが、国内や欧米での減販により減収減益です。
エナジーシステムは、海外の配線器具が堅調で、電材事業は増益となりましたが、ソーラー事業の苦戦により、全体では減収減益となりました。
パナソニックエコシステムズは、換気システムなどを扱うIAQ事業が好調に推移し増収増益です。パナソニックホームズは、新築請負の伸長などにより増収増益となりました。
コネクティッドソリューションズ
続いて、コネクティッドソリューションズです。売上高は減収です。調整後営業利益は減益となりましたが、その他損益にセキュリティシステム事業の売却益を計上し、営業利益は増益となりました。
アビオニクスは、通信サービスやコンテンツなどのデジタルソリューション事業が成長し、増収増益となっています。プロセスオートメーションは、米中貿易摩擦の影響や自動車販売減少に伴う投資抑制により実装機の販売が減少し、減収減益です。
モバイルソリューションズは、Windows7サポート終了に伴う買換え需要の拡大により、国内・北米向けパソコン事業が好調に推移し、増収増益となりました。PSSJ(パナソニック システムソリューションズ ジャパン)については、国内向けパソコンが寄与し、増収となりましたが、販売構成の影響もあり、わずかに減益となりました。
オートモーティブ
続いて、オートモーティブです。こちらは減収減益となりました。車載機器の売上高については、IVIなどの成長製品は伸びているものの、中国における自動車市況の悪化の影響や、製品サイクルの移行期による減販をカバーできず、減収となりました。
調整後営業利益は、主に減販の影響により減益となりました。欧州で受注した充電器件名の開発費は前年から増加しましたが、第2四半期決算で修正した見通しの範囲内に収まっています。車載機器全体の開発費は今年度がピークとの見方は変わりません。
次に、車載電池の売上高は、円筒形のテスラ向け北米工場への増産投資効果が、国内工場の減販や角形の北米における販売不振を上回り、全体では増収となりました。
調整後営業利益は、円筒形は、北米工場の増販益が国内減販影響を上回り、増益となりましたが、角形は、姫路工場での高容量セル生産開始に伴う固定費増などにより減益。全体では減益となりました。
なお、北米工場については、第2四半期決算時に、下期には単月黒字化に取り組むとご説明しましたが、第3四半期トータルでの黒字化を達成することができました。
インダストリアルソリューションズ
セグメントの最後はインダストリアルソリューションズです。こちらは減収減益となりました。第2四半期決算では、中国市況について、不透明感が強いなか、前年下期と同水準との前提を置いていました。
第3四半期においては、一部商品で底打ち感が見られたものの、中国を中心として、自動車市況が想定以上に減速するなど、全体としては厳しい経営環境で推移しました。
システム事業は、産業用モータでは底打ち感が見られたものの、中国の設備投資需要が引き続き低迷しており、FAセンサ、リレーなどが苦戦しました。また、中国における二次電池の需給悪化による減販もあり、減収減益となりました。
デバイス事業は、自動車市況減速によるコンデンサなどの落ち込み、郡山工場における台風被災の影響による基板材料の減販などにより減収減益となりました。その他損益には、半導体事業の譲渡決定に伴う減損を計上しました。
フリーキャッシュフローの状況
こちらのスライドでは、フリーキャッシュフローの状況についてご説明します。これまでは戦略投資により、フリーキャッシュフローは厳しい状況が続いてきましたが、第3四半期累計の実績は1,286億円となりました。
角形車載電池事業への投資は第4四半期までは続きますが、在庫抑制や投資の見極めなどにより、前年から大幅に改善しました。
セグメント別見通しの修正(2019年10月31日公表値からの修正)
続いて、2019年度の年間業績見通しについてご説明します。冒頭にご説明したとおり、全社の見通しに変更はありません。年間見通しに織り込んでいる構造改革についても予定どおり推進していきます。
セグメント別の見通しは、足元の経営状況、事業ポートフォリオ改革の影響などを踏まえ、ご覧のとおり修正します。
コネクティッドソリューションズは、セキュリティシステム事業の売却による影響を反映し、調整後営業利益を下方修正します。営業利益は、その他損益で事業売却益を計上したことにより上方修正しています。
インダストリアルソリューションズは、中国を中心とした自動車市況の減速、二次電池の需給悪化、台風被災や知財収入の減少に加え、その他損益で半導体事業の減損を計上したことにより、売上高および利益ともに下方修正しました。
消去・調整は、固定費削減による本社収支の改善や、在庫削減による内部利益排除の良化の影響などもあり、第3四半期までの実績を踏まえて修正をしています。中国市況など、マクロ環境は予断を許さない状況が続いていますが、これらを注視しながら、経営体質の強化に引き続き取り組んでいきます。
事業ポートフォリオ改革の進捗
最後に、こちらは事業ポートフォリオ改革の進捗です。第2四半期決算以降の主な変更点としては、車載用角形電池事業の合弁会社を4月に設立することを決議したこと、街づくり事業の合弁会社、プライムライフテクノロジーズを1月に設立したことです。
また、昨年11月には、半導体や液晶パネルといった赤字事業に対する構造改革を発表しました。今期は、構造改革を引き続きしっかりと推進するとともに、来期以降もトップダウンでの取り組みを加速させ、低収益体質からの脱却を目指していきます。
ご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
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