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今がチャンス!? 必要な能力とは? AIで世界一、中国の新型コロナ感染研究
当然と言えば当然だが、新型コロナウイルス感染症の発祥地、中国ではAIを使って研究が加速している。中国は、2030年にはAIの分野で世界をリードすることを目標に研究が続いている。そこに降って湧いたのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。
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AIを使う好機としなければ、中国の国家的損失だ。そこで、産業界や官僚組織、民間組織を総動員して、感染拡大の阻止と機能回復などすべてに渡っての研究となっている。AIにとっては得意分野と見て研究にいそしんでいるのであろう。アメリカでも同様にAIを使った研究がなされており、現在の政策を決定する手助けともなってきているようだ。
防疫については日本でも研究者がいるように、統計学的見地からの見通しが重要となっている。日本政府による専門家会議のクラスター班の提言は、こうした数理的研究によってなされている。「外出自粛要請8割」などの目標値は、シミュレーションによるものだ。しかし、AIがとり得る手法は、ネット上から得られる情報が主である。
そのため、それは「現在までのデータ」に限られており、「過去にとらわれない対策を打ちだす」との安倍首相の言葉を実現しようとすると、AIでは難しいレベルであるとなる。「アベノマスク配布」のレベルが、AIによる回答であるとは思われないが、少なくとも新型コロナウイルス感染拡大の情報をAIに検索させて参考にしていなければ話にならない。
携帯電話の位置情報ビックデータを使った実際の人出を「外出自粛要請8割」の目標値と比較する程度のことならば、AIの必要性はない。人間のリーダーは、AIのデータ処理を超えて先の見通しを推論し、先手を打たねば、ウイルスの知恵には敗れてしまうのが現実だ。つまり、AIにこれまでのあらゆるデータを調べさせ、何らかの結論を導き出させておいて、その背景を探って「これからの対策」を導き出すのが人間だ。
新型コロナウイルスによるパンデミックに直面し、平時を奪われたこの緊急事態の中で、AIの役割を改めて見つめてみるのに良い機会であるはずだ。さらに、緊急事態において「情報を集め、分析し、理解した上で決断する」作業は、人間の能力について見定めるにも良い機会である。
「官僚組織が対策にもたついている」「感染症の専門家が対策を誤ってしまう」ことがあれば、エリートとされている官僚の人選が誤っていることが、現実に示されているとも言えそうだ。私たち国民は、東大閥を生み出している入学試験・国家公務員試験など選抜システムそのものを疑ってみる必要があるようだ。いま、「AIに必要とされている広い視野」こそ、真のエリートに望まれる能力であろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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