アメ車不人気の日本で、なぜジープだけが愛されるのか?

2020年4月20日 11:56

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日本カー・オブ・ザ・イヤー「エモーショナル部門賞」を受賞した「Jeep Wrangler(ジープ・ラングラー)」(画像: FCAジャパンの発表資料より)

日本カー・オブ・ザ・イヤー「エモーショナル部門賞」を受賞した「Jeep Wrangler(ジープ・ラングラー)」(画像: FCAジャパンの発表資料より)[写真拡大]

 日本にもさまざまな国から輸入車がやってくるが、その中でもアメリカ車の国内人気はかんばしくない。しかしジープだけは、現在も多くの日本人から支持を受けている。

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 近年は2016年いっぱいでフォードが日本市場から撤退し、自動車ファンに衝撃を与えた。クライスラーブランドも売れ行きがかんばしくなく、2017年末でFCAジャパンがクライスラーの正規輸入を終えてしまった。このようにアメリカ勢は日本市場において淘汰を受けている印象さえ禁じえない。

 しかしクライスラーと同じFCAグループに属するジープだけは、現在も日本市場で好調な売れ行きを見せ、アメリカ勢を引っ張っている。2020年1月14日のFCAジャパンの発表によると、2013年から6年連続で販売台数が増加。2018年のフルモデルチェンジが話題となったラングラーにいたっては、昨年までの10年間で販売台数を10倍に増やすなど、注目度は上がるばかりだ。

 ジープの国内人気の背景は、イメージ戦略の一貫性だ。ブランドがSUVモデルに特化しただけではなく、オフロード走行に強くて頑丈というイメージ戦略を長年通し続け、多くの日本人にも強い個性を認めてもらえたと考えられる。

 ジープの重厚な迫力をブレさせずして、近年はラグジュアリーモデルのグランドチェロキーやコンパクトモデルのレネゲードなど、ラインアップを多様化させてきた。それでも現行モデルの1台1台から、ジープらしい力強さが伝わってくるなど、伝統を貫くスタンスは敬服に値する。

 ジープらしさを失わずして、時代の変化に適応させてきた企業努力も見逃せない。たとえば最新型ラングラーは、伝統的な4WDらしさを守りながらも、2.0リッターの4気筒ターボという流行のダウンサイジングを採用。経済性とジープらしさを両立させたモデルとしてSUVファンの関心を引いた。「360°全方位サポート」をモットーにした安全運転支援技術で、ストレスフリーなドライブにこだわる現代のドライバーのニーズにもマッチさせた。

 強烈なコンセプトアピールを長年変えずして時代に合った変化を繰り返す努力が、ジープの魅力だろう。

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