他人の褌で相撲を取るBEENOSが「好評」なわけ

2020年4月14日 07:32

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翻訳言語は、2020年2月にインドネシア語・タイ語・韓国語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語が追加され10言語となった。

翻訳言語は、2020年2月にインドネシア語・タイ語・韓国語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語が追加され10言語となった。[写真拡大]

 世の中には頭の良い方がいらっしゃる、とBEENOSの実態を知るたびに思う。基軸は、言葉を選ばずに言えば「他人の褌で相撲を取る」事業。

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 アマゾン・楽天市場・ヤフーオークション・メルカリなどのECサイトを多言語に翻訳し、海外ユーザーが自国に居ながらにして日本の商品を買えるようにするサービス(Buyee)の提供。ちなみにサービスの対象となるECサイトは2200以上。

 「他社サイト商品の代理購入・発送(クロスボーダー)」事業。会員数は210万人以上。86の国・地域への発送実績を積み上げている。中国・台湾等の東アジアからの注文が約4割を占める。英語・中国語の他、ロシア語など計10カ国語で対応が可能。

 現社長兼CEOの直井聖太氏は、前身のネットプライスドットコムに入社し海外転送サービス「転送コム」の立ち上げに参画した40歳の若手経営者。直井氏自身「世界でもあまり例がないサービス」としているが、まさにその通り。

 クロスボーダー事業以外にも「バリューサイクル(ブランド品・アパレルの宅配買い取り)」、「リテールライセンス(タレントやアニメなどのイベント品物販)」を展開。が、何と言っても儲け頭はクロスボーダー。前9月期ベースでみると「11.4%増の営業増益:17億7000万円」のうち、約4割を稼ぎ出している。

 他人の褌で相撲を・・・という私の嫌味に、BEENOSに詳しいアナリストは「なにも知らないくせに」と嘲笑った。「多くのECサイトがBuyeeを高く評価している。例えば日本のECサイトでは、海外で発行されているカードが使えないところが多い。国境を跨いでの決済は、不正が多いからだ。BEENOSはそうした不正を徹底して潰すノウハウを蓄積している。また配送に際しての梱包でも“壊れづらい”“軽い”工夫を凝らしている。そうした事実をしっかり見定めるべきだ」と。

 昨年11月、中古品売買サイト「ブランディア」を運営するファクトスタンダードを完全子会社化した。ブランディアはセカンドブランド(1000円以上1万円以下)市場で戦ってきた。20-40歳代の女性の支持を得てきたが、このところメルカリなどフリマアプリの攻勢に苦戦を強いられてきた。

 完全子会社化を先のアナリストは「リユース市場も需給関係が勝負。クロスボーダーで販売することで海外の高値販売が実現すれば、日本での買い取り価格も高くなり顧客ニーズを取り戻すことができる。勝算の背景がある完全子会社化だ」とした。

 他人の褌で相撲を、はブランディアの回復を確認出来たら喜んで撤回する。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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