難関私大早慶を併願して勝ち抜く戦術

2020年4月8日 07:29

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■早稲田大学と慶応大学は併願した方が合格する

 長年、大学受験生を指導してきて思うことだ。裏を返すと、「慶応の英語難しいから」といって敬遠する受験生は、結局、早稲田の英語にも対応できない。「慶応は小論文あるから」と敬遠する受験生は、結局、早稲田の評論に対応できない。

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■小論文の中に現代文あり、現代文の中に小論文あり

 大学受験生は現代文と小論文とを別々に考えがちだが、どちらも同じ意見文である。「書く」か「読む」かの違いであり、基本的な構造「問題点(テーマ)は何か?」「結論の根拠(論証)は何か?」「結論は何か?」の3点は変わらない。

 プラモデルを組み立てた人は、分解できる人である。プラモデルを分解した人は、組み立てられる人である。小論文の論述は基本構造から組み立てていく作業であり、現代文の読解は基本構造に分解していく作業である。だから、早慶を併願し、評論対策をしっかりやれば効率的に小論文を習得できるし、論述対策をしっかりやれば効率的に現代文を習得できるというわけである。

■難関大合格の背後に莫大な演習量あり

 「一所懸命勉強しているのに、成績が上がりません…」という受験生に共通しているのは、勉強すること自体が目的になっている点である。「今日は5時間勉強するぞ!」5時間勉強すること自体が目的になっている。「今日は問題集10ページやるぞ!」10ページ進むことが目的になっている。これを自己目的化という。

 設問も1つ1つ、じっくり解いて満点を取るような演習をしている。だから模試、本番でも1つ1つじっくり満点を取るような解き方をしていく。現実的に国語は満点を取るような教科ではないにもかかわらず、である。結果、現代文では後半の要約系の高配点問題を落としていく、記述問題にまるまる穴をあけてしまう。小論文ではタイムアウトが近づき、取ってつけたようなキレイゴトを書いてしまう。真っ先にボツにされる。

 難関大に合格する受験生に共通するのは、「全体」が見えていることである。「小を捨てて大を取る」「肉を切らせて骨を断つ」何を捨てて、何を取りにいくのか、自分の戦略をきちんと持っている。

 普段の演習でも、「満点なんかいらない、でも必ずボーダーは取る」という演習をしていくので、どんどん時間がかからなくなっていく。1時間かけていた問題が30分で済むようになれば、演習量は2倍になっている。20分で済めば演習量は3倍になっている。このようにしり上がりに演習量を上げてボーダーに到達する。

 「全体」が見えるから、現代文で演習したネタを小論文に使いまわしていく。小論文で身につけた立論の力を現代文の要約にいかし、要約系高配点問題を取っていく。だから、早慶は併願した方が合格率は格段に上がるのである。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る

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