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岡山大ら、チタン使った生体軟組織用接着剤を開発 インプランタブル端末に応用
研究の概要(写真:岡山大学の発表資料より)[写真拡大]
体に装着できるウェアラブルデバイスの究極形として、体内に埋め込むインプランタブルデバイスが将来期待されており、その実現のためには、体内に据える接着剤が必要になる。岡山大学は24日、チタンをベースにした生体軟組織用接着剤を、世界で初めて開発したと発表した。
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■接着力が弱かった従来の接着剤
インプランタブルなセンサーや医療用デバイスの体内への固定、生体組織同士の接合のために従来使用されていたのが、高分子性の縫合糸だ。縫合糸による縫い合わせは処置が面倒である上に、生体組織を傷つける恐れがある。そのため、簡便かつ迅速に処置可能な生体組織接着剤の開発が期待されている。
従来の生体組織接着剤は、血液中の物質から作られたフィブリンをベースにした接着剤だ。フィブリン系接着剤は生体親和性がある一方で、接着の強さが不十分だという課題があった。そのため、生体親和性と接着力の高さを両立できる接着剤の開発が待たれていた。
■従来の3倍の接着力をもつ
岡山大学、昭和大学、大阪大学、柳下技研の研究者らから構成されるグループは、チタン薄膜を一定温度で酸処理した材料を用いた新しい接着剤の開発に成功した。酸処理によりチタン表面が疎水化することで、生体軟組織に含まれるたんぱく質などの有機物質と接合する際に、水がはじかれ接着力を生むという。
開発された接着剤は軽く圧接するだけで、生体軟組織にすぐに接着される。研究グループによると、従来のフィブリン系接着剤よりも3倍以上の接着力をもつという。
開発されたチタン材料は滅菌も容易だ。今後は、インプランタブルデバイスや医療用デバイスを体内に固定したり、生体組織同士の接合や変形した組織の矯正など、外科処置への応用が期待されるとしている。
研究の詳細は、独科学誌Advanced Materials Interfacesにて23日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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