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牛の二酸化炭素排出量を抑える「超高密度放牧」
taraiok曰く、
家畜による温室効果ガスの排出量は全世界の約14%を占めており、とくに牛は一頭あたり毎年約100キログラムのメタンを吐き出すと推定されていることから、気候変動の世界では悪役とされてきた。リチャード・ティーグ教授率いるテキサスA&M大学の研究チームは、この問題を改善するための効果的な放牧システムを発見した(CNN、Slashdot)。
その手本となったのがダニー・スラブバート氏の放牧方法だ。彼は牛の群れの密度を大幅に高め、特定の場所の草を食べ尽くしたら別の場所に行くという回遊鳥の群れのような仕組みを作り出した。この方法は超高密度放牧と呼ばれている。牛がすべての草を食べ、糞をすることで、良質な草の種のみが生き残る。そしてそこにカブトムシの幼虫を紛れ込ませる。小さな虫は糞を分解し、大きな虫は自然の肥料を土壌の奥深くまで運び込む。これにより土壌と草原の状態が良くなる。
研究では、適度に効果的な放牧システムを行うことで、牛が排出するガスよりも多くの炭素を土壌に閉じ込めることができるという。地球の表面の約30%から40%は天然の草原とされる。植物は光合成により大気から炭素を吸収し、その根によって土壌に炭素を送り込む。しかし、土壌が炭素を貯蔵できるようにするには、土壌が生きたものでなければならないのだという。
世界中の農家は化学肥料などを利用することで土壌の効率が落ち、土壌にあった炭素も失われてきた。多くの農民や科学者は、科学革命の犠牲になった土壌を蘇らせたいと考えている。その再生農業の鍵は、スラブバート氏の超高密度放牧のような牛と作物の2つを組み合わせることにあるとしている。
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※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。
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