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世界最大級の重力波望遠鏡「KAGRA」、観測を開始
重力波望遠鏡KAGRAが設置された岐阜県高山市神岡鉱山内のトンネル内の様子(写真:国立天文台の発表資料より)[写真拡大]
東京大学宇宙線研究所は2月25日、大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の観測を開始したと発表した。
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■プロジェクト開始10年で誕生
KAGRA建設のプロジェクトが開始したのは、2010年だ。宇宙から飛来する素粒子を検出するスーパーカミオカンデのある岐阜県飛騨市神岡鉱山内にて、KAGRAの建設が開始した。神岡鉱山の地下には7.7キロメートルにも及ぶ空洞が掘削された。2019年には空洞内に観測装置が搬入・設置を終え、ようやく重力波の観測開始にこぎ着けた。
KAGRAの観測対象である重力波検出のうち、主流となっているのが、レーザー干渉計と呼ばれる装置だ。ビームスプリッターでレーザーを分離して、再びビームスプリッターへと戻る光を干渉し、強度が計測される。重力波による時空の歪みがあると、レーザーの光路に差が生じる。そのため光の強さの変化で、重力波が検出される。
レーザー干渉計は光が通過する「腕」が長いほど、重力波を感度良く検出できる。KAGRAの腕の長さは3キロメートルにも及び、米LIGO2基や欧州Virgoと並び世界最大級である。
■KAGRAが観測対象とする重力波
重力波は、重力による時空の歪みがさざ波のように広がる現象を指し、アインシュタインの一般相対性理論によりその存在が予言された。2015年になりLIGOが13億光年彼方のブラックホール連星の合体による重力波を検出。ブラックホールの大きさは太陽の30倍にも及ぶという。
重力波によって明らかになるのは、巨大ブラックホールの形成メカニズムだけではない。宇宙に存在する物質やエネルギーの大半が、ダークマターやダークエネルギー等の「目に見えない」ものだ。重力波を検出することで、ダークエネルギー等の特性評価が行えるという。
重力波を観測するメリットは、その貫通性にある。天体から放射された可視光は、途中に塵やガス等の障害物が存在すると通過できないが、重力波はすべての物体を通過できる。現在天体観測に用いられる赤外線等の電磁波とともに、宇宙の理解を深めるのに役立つことが期待される。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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