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首都圏私大難化傾向続く中、地方の国公立大学が狙いめ
■青年は「地方」を目指す
首都圏の私立大学は、国の合格者定員厳格化の方針を受け、依然として難化傾向が続いている。トップの私大は若干歯止めがかかったものの、そのしわ寄せが中堅私大に押し寄せ、軒並み難化している。
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模試でA判定をとっても全くあてにできない状況である。そのような中、首都圏から地方の国公立大学を目指す動きが出てきた。
■「グローバル」すなわち「ローカル」
地方の教育現場では、高校はいまだに公立が絶対的に優位である。私立中学受験のために小学生が塾に通うなど、全くあずかり知らない未知の世界である。進学の頂点にあるのは地元の国立大学であり、そこには閉ざされた「ムラ社会」が厳然と存在している。
だが首都圏の受験生は、そのような地方の受験生を笑いものにはできないだろう。なぜなら、中学受験を乗り越えて中高一貫校から有名大学に進学し、一部上場企業に就職、というのも閉ざされた「ムラ社会」だからである。
「限界集落」「耕作放棄地」など、全くあずかり知らない若者が、企業に入って「社会貢献」を語る、エリートコースの頂点で日本の国の在り方を語る。日本の国土の大半に「無知」なのに、である。
その「ムラ社会」を壊すため、首都圏に住む若者は、進路の視点を変えてみてはどうだろう。偏差値で振りまわされ、志望していない大学に「仕方なく」進学するぐらいなら、自分がどのような知識、スキルを身につけたいのかよく見極めて、地方の国公立大学に目を向けてみる。
AО入試、推薦入試から地方の国公立を目指してみる。国公立は5教科のバランス型受験だから、得意教科を重視してくれる大学を探してもよいだろう。また、地方の国公立大学は、その地域に特化した特色ある学部学科を設けているところもある。自分がどこで、何をやりたいのか、学生時代に真剣に考えてみるのは、一生の進路を決めるうえで必ず糧になる経験である。
例えば、首都圏私大の立教大学と国立大学の岩手大学は、東日本大震災で廃校になった陸前高田市の中学校を借り受けて、「陸前高田グローバルキャンパス」という試みを始めている。
津波でまっさらになった土地に、いかに現代の理想郷を建設するか、ハーバード大学、プリンストン大学、スタンフォード大学など、世界のトップエリート達がその地を訪れている。ローカルの中にグローバルあり、首都圏の大学にしがみつく必要など全くないのだ。
■首都圏から地方に移住する若者は「神」?
古来、日本人は共同体の外部から来る者を「客人(まろうど)」として歓待してきた。現在も「おもてなし」の文化にその名残を残している。典型的なのが、大晦日(おおみそか)に「歳神(としがみ)」様を家族そろって迎えてきたことである。
外部から来訪する者は、自分達が知らない知恵や技術をもたらしてくれる、価値ある存在である。だから、大切にお迎えしてきた。
若者がいなくなり疲弊しきった地方で、都会から移り住む若者は「神」に近い存在なのかもしれない。それは現在、総務省が主導している「地域おこし協力隊」をみればよくわかる。
情報を自由に操り、地域の情報を世界に発信してくれる若者は「神」に近い存在である。地方の若者がやりたがらない農林水産業に汗を流し、老人ばかりの消防団に入って活動してみる、必ず手を合わせてその活動を見守る地域の人々がいるはずだ。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る)
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