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近視の進行を遅らせるメガネと格闘するJINSの紆余曲折
2019年11月にオープンした次世代型店舗「JINS渋谷パルコ店」。(画像: ジンズの発表資料より)[写真拡大]
我が郷里:群馬県前橋を発祥の地とするジンズホールディングス(以下JINS)が、順調かつ興味深い成長階段を昇っている。JINSの主軸は、「ジンズ」ブランドのアイウェア(眼鏡)の企画・製造・販売。未だ登記上の本社は前橋市にある。近親感を抱きウオッチしている。
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前2019年8月期の「12.8%増収、22.9%営業増益、25.0%最終増益、2円増配50円配」に続き20年8月期も、「10.0%の増収(681億円)、11.3%の営業増益(83億円)、15.0%の最終増益(44億5000万円)、5円増配55円配」計画で立ち上がった。今期予想を含む過去5期間の平均営業増益率は19.2%。かつ連続増配を続けている。
だがJINSも創業者社長の田中仁氏自身の言葉を借りれば、「上場廃止を考えた時期があった」という。上場(06年8月)から2期目の08年8月期決算を終えた時期だった。この期「67.2%の営業減益、1億1200万円の最終赤字」に沈んだ。相次ぐワンプライスショップ(低価格均一プライス店)の出現に巻き込まれた結果だった。
そんな時、ファーストリテイリングの柳井正CEOと会う機会があった。矢継ぎ早に厳しい言葉を投げかけられたという。「一口で言うと、志を問われた」と振り返っている。効いた。以来「会社の存在意義を常に自らに問い、売り上げ利益一辺倒でない、アイウェアで顧客のライフスタイルを変えられる企業であり続けたいと考えるようになった」という。
そうした決意は具体的に、例えばこんなアイウェアの開発で実行されている。
★弾力性と復元性: 軽いフレーム。PPSU樹脂(耐衝撃性・耐薬品性に優れている)とウルテム(強度に優れ長時間使用しても型崩れしない)をブレンドした素材を採用。これまでにない細さ、軽量性を実現。かつ、高次元の弾力性と復元性を叶えた。長時間使っても疲れを感じない。
★ストレスフリー: シリコン素材のクリングスパッド(鼻当てのないデザイン)を使用することで、肌にメガネの跡が残りにくい。メタル部分にも弾力性の高い素材を使うことで、着用時の疲れやストレスを軽減。
★快適さ: 卵型をラウンドした丸いフレームデザインを採用し、テンプル(耳にかかる部分)の厚みを部位によって変化させる柔軟性を実現。快適なかけ心地の継続を求めた。
そしていま、近視の進行を遅らせるメガネの開発と格闘している。また四季報・新春号の材料欄には【技術】の見出しで、こう記されている。「渋谷パルコ店では、視力矯正眼鏡をかけたまま違う眼鏡をバーチャル試着できるサービス開始。19年10月末、3Dプリンタで製造のサングラスを発売」。
前記の「上場廃止も考えた」という時期のアイウェア店舗は52店。それが前期末で「国内379+中国144+台湾28+香港4+米国5=560店舗」体制に拡充している。
近視の進行を遅らせるメガネ。まさに顧客のライフスタイルを変えられる企業といえる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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