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創業400年超の綿半、各事業の特長活かす「合才の精神」で最高収益更新へ挑む
綿半ホールディングスは1月10日、主力事業である小売事業の2019年12月度動向を発表した。12月は暖冬で暖房用品が低調だったため、前年比は全店売上高94.1%、既存店売上高94.1%と不振であったが、今期累計(2019年4-12月)では全店116.4%、既存店98.2%であった。
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綿半は、織田信長の家臣が本能寺の変後、長野県飯田市に身を寄せて、1598年綿商を創業したことに始まる。当主が代々「綿屋半三郎」を襲名したことから「綿半」の屋号となり、江戸時代は飯田藩ご用達商人として栄えた。明治の大変動期に綿から鉄へ変更を遂げ、異業種を受け入れ暮らしの変革で成長し、小売事業、建設事業、貿易事業の3つのセグメントを有する企業グループへと発展した。
2019年3月期の売上高は1,064億円。セグメント別構成比はホームセンター、スーパー、ネット通販などの小売事業が63.3%、立体駐車場や木造住宅建設、造園などの建設事業が32.1%、医薬品原料輸入、化成品原料輸入の貿易事業が4.4%を占めている。
「合」の旗の下、民、家臣と共に力を合わせ、地域を守り、地域の発展に貢献してきた。その理念を受け継ぎ、社員と周囲の人達の才能を合わせる「合才の精神」で社会への貢献を目指す綿半の動きを見ていこう。
■前期(2019年3月期)実績と今期見通し
前期売上高は1,064億円(前年比4.0%増)、経常利益は25億円(同0.2%増)といずれも過去最高を更新。事業別の資源配分の決定、業績評価の基準とするセグメント利益は34.9億円(同0..4%増)であった。
事業別のセグメント利益の内訳としては、スーパー、ホームセンター、生鮮食料品と異業態店の陳列、棚の共通化、ロゴ・物流の共通化、大型店の閉店など合理化費用により小売が2.6億円の減益。
一方、大型案件受注の好調とロボット導入で生産性が向上した建設で0.9億円の増益、輸入原薬製造の安定化、高品質化、規模拡大とオーガニック商品の拡販により貿易で1億円の増益。その他、物流費などの合理化効果と不採算店の閉店により全社で0.8億円のコスト削減があった。
今上半期(4-9月)売上高は588億円(前年同期比17.8%増)、経常利益10億円(同3.5%増)の実績の中、今期売上高1,142億円(前年比7.3%増)、経常利益28億円(同12.2%増)を見込んでいる。
■中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)による推進戦略
各事業の特長を活かした安定・成長性のある事業構造を創り上げることにより、2022年3月期売上高1,200億円(対前期比12.8%増)、経常利益32億円(同28.0%増)を目指して次の戦略を推進する。
●1.小売事業
・EDLP(Every Day Low Price)×EDLC(Low Cost)戦略の推進: 毎日低価格でチラシ、宣伝費削減。陳列、棚、物流共通化、生産性向上により毎日低コスト化推進。
・リアル店舗の存在価値向上: 港から魚介類直送や地場産品拡充で鮮度向上、こだわりの惣菜、お菓子のプライベートブランド化。
・インターネット通販の拡大: 2018年12月に家電インターネット通販のアベルネットを買収、プロ向け建設資材も販売開始。
●2.建設事業
・メーカー建設業への変革: 自走式立体駐車場の内製化推進。
・工場の自動化による生産性の向上: 自動化ロボットとの連携で工期短縮、コスト削減。
●3.貿易事業
・原薬製造の安定化、高品質化: 収益性の高い精製方法の開発。
・取扱原薬数を倍にする体制整備: 製造加工の拡充と新領域への参入。
・自然派オーガニック商品の拡充: 化粧品中心から食品にも拡充。
「合才の精神」で右肩上がりに着実に業績を伸ばす綿半の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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