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千葉大ら、排卵済みの卵胞から高確率で卵子を回収 体外受精に成功
破裂済みの卵胞から卵子を回収する流れ(写真:千葉大の発表資料より)[写真拡大]
千葉大学は7日、排卵済みの卵胞から回収した卵子から、高確率で体外受精に成功したと発表した。体外受精に利用できる卵子の数が増えることで、体外受精による妊娠率が高くなることが期待される。
■数に限りのある卵胞
卵巣内部には、卵子が成育する「原子卵胞(以下卵胞)」と呼ばれる袋が存在する。卵胞内には液が溜まっており、卵子が十分に成育すると「排卵」と呼ばれる、破裂した卵胞から卵子と液が排出されるプロセスが起きる。排卵後、卵子は卵管から子宮に移り、成長を続ける。
生まれたときには約200万個存在する卵胞も、思春期や生殖年齢時には20万から30万個まで減少する。その後もさらに減り続けるなど、卵胞の数に限りがある。
不妊症の治療のひとつである体外受精では、卵子が成熟した頃の卵胞から卵子を体外に取り出し、シャーレ内で受精させたのち、子宮へと移動させる。ところが、いったん破裂した卵胞では卵子が押し出されるため、卵子を回収できないと考えられてきた。
■約1割で健康な新生児が誕生
千葉大学とNatural ART Clinic日本橋の研究者から構成されるグループは、破裂した卵胞のすべてが卵子を押し出していないことを突き止め、破裂した卵胞から高い確率で卵子を回収できることを証明した。
587名の不妊症の患者で検証した結果、43%に相当する255名から卵子を回収できた。この255名に体外受精を行ったところ、全体の11%に相当する28名では、健康な新生児が誕生したという。
今回の発見により、これまで原因不明だった不妊のうち、卵胞が破裂しても卵子が押し出されることのないケースがあった可能性が示唆されている。
研究グループは今後、本研究をさらに進展させる。体外受精に利用できる卵子数を増加させることで、体外受精による妊娠率向上に期待を寄せている。
研究の詳細は、オンライン学術誌Scientific Reportsにて10月21日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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