AIは新たな仕事を創出? 人間はより難しい非定型業務を行うようになる

2019年10月24日 17:34

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 AIがさまざまな仕事場に導入されてくる。まだまだ不完全で失敗例も多く聞くが、この流れは止まらない。銀行業務、市役所業務など定型の仕事ほど、AIでこなすには容易だ。そのため多くの仕事がAI化されると見られているが、一方では新しい仕事も創出されると言われてきた。しかし、その必要となる仕事は「非定型」業務であり、高度な知識と経験がいる。

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 例えば、弁護士、司法書士などが行う「法務」については、そのほとんどが「定型」の判断で済むと考えられるため、民間企業の「法務」はほとんどAIがこなすことが出来るであろう。わずかだが高度な判断を必要とする部分については、一般企業では経営者が担う仕事である。では、どのような仕事が残される、あるいは発生するのであろうか?

 裁判所では、その手続きから一般人としてはなじみが薄いものだ。しかし、その事務処理のほとんどは形式を整えることであり、「法的見解」についてAIはかなり優れた判断を示すことが考えられる。多くの「判例」なども正確に記憶することができ、その意味を踏まえて現状の問題の結論を求めることなどは、人間はAIの能力にかなうはずもない。

 すると裁判などの場面においては、人間が入る余地は、いわゆる「大岡裁き」と言われる人情を踏まえた「超法規的」思考にあるだろうか?もしそれをAIに判断させたのなら、枠を踏み出して答えを出せるものなのかは極めて疑問だ。なので、このようなことが、人間が担うことができる法務であると考えられる。つまり、「非定型」業務である。

 社会のほとんどの仕事は「定型」にできるもので、AIによって生き残る仕事はほとんどないとみられるのだが、筆者の経験則ではそれはかなり先のこととなろう。おそらくは半世紀はかかるものと考えられる。それは、人間の能力は言われるほど小さなものでなく、かなりの可能性を持っていると考えられるからだ。

 筆者の若いころ、コンピュータがパーソナルとなり始めたころのことである。「歩留まり計算」つまり、「洋服の生地から型紙で効率よくパーツを取る」「鉄板から部品を効率よく切り出す」などの計算は、1/10のモデルを切り出し、人力で試行錯誤してようやく求めていた。

 また、それを当時のスーパーコンピュータで行うと、結果が出るのに1晩かかると見られていた。ほとんどすべての仕事をコンピュータに任せると、試行錯誤して時間がかかってしまうのだ。しかし、人が3つのキーになる寸法を見つけることをしてやり、コンピュータにその3寸法を入力すると、当時のポケットコンピュータでも数十秒で計算ができてしまったのだ。

 つまり、おおよそ2割ほどの仕事を人間が行い、あとはコンピュータに任せれば、数千分の1ほどの時間で出来たのだった。しかも、ベーシックインタプリタで200ステップほどのプログラムで出来てしまったのだ。しかし、その2割の人間がやる事がかなり「難しい」ようで、普及はしなかった。

 AIによる仕事の変化は、こうして定型化した仕事は全て人間の手からはなくなるわけではなく、人間に残された仕事はかなり高度なものとなるのであろう。また、AIによって、仕事と収入の関係を見直す時期に来ているのであろう。人類にとっては数千年ぶりの変化だ。ある意味で、経済の終わりかもしれない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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