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国交省、パイロット飲酒問題でJALに2度目の事業改善命令
国土交通省は8日、パイロットの飲酒問題に関して、JAL(日本航空)に対し昨年12月21日に続き2度目となる事業改善命令を出した。大手の定期運送業者が同じ内容で1年以内に2度の事業改善命令を受けるのは初となる。
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JALの赤坂祐二社長は「大変深刻かつ危機的と認識している」とし、飲酒問題の再発防止に取り組むため自らが安全統括管理者となると述べた。同時に社長としての月額報酬を3カ月間40%減額し、その他の取締役は2カ月間20%、執行役員は2カ月間10%減額する考えを示した。
パイロットの飲酒問題は、18年10月28日にロンドン・ヒースロー空港において、JALの副操縦士が規定以上の酒気帯び状態で警察当局に逮捕されたことに端を発している。
同年12月21日に国交省は、パイロットの飲酒問題に関連し、全日空やスカイマークなどの航空4社に対し厳重注意を行った。同時にJALの副操縦士の場合には、会社の飲酒検査を不正な方法ですり抜けるなど悪質性が高いとし、事業改善命令を出したものである。
それ以来、JALはパイロットの乗務前飲酒に対し対策を講じていたにも係わらず、今年に入ってからも同様の飲酒問題が3件も相次いでいた。
国交省としては、この事態を重大に捉え、今回JALに対し異例となる2度目の事業改善命令を出し、今後再発した場合には、特定の便の運航停止命令もあることを示唆している。同省はJALに対する命令書の中で、パイロットらの乗務前飲酒に対する意識が不十分であり、会社の経営陣に対しても安全上の問題への認識に欠け、コンプライアンスの意識も徹底されていないことを指摘している。
国交省は同時に、ロンドンで逮捕された元副操縦士について操縦免許を取り消したことも発表した。操縦免許の取り消し処分は今回が初めてという。元副操縦士は同省からの聴取要請に対し数回は応じていたものの、途中から要請を拒否したなどの事情も考慮しての処分と見なされている。
JALを含めた全航空運送業者は、大勢の乗客の命を預かる使命を重く受け止め、乗務前飲酒問題のみならず、あらゆる安全対策を講じるために万全の態勢を採るよう望むものである。(記事:kan1713・記事一覧を見る)
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