マツダ3の苦悩 プレミアムブランドを目指して (2/2) しなやかなボディが魅力

2019年9月26日 14:16

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MAZDA3のインテリア。(画像: マツダの発表資料より)

MAZDA3のインテリア。(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]

 マツダのもう一つの目玉技術は、さらに目立たないため、なかなか商品力に結び付かない。それはボディの構造にあって、新プラットフォームは剛性を高めるだけでなく、接合部で僅かな歪みを吸収し、振動や揺れを制御することを試みている。

【前回は】マツダ3の苦悩 プレミアムブランドを目指して (1/2) スカイアクティブX の遅れ

一般的には、プラットフォームの剛性をあげないと、プラットフォームが不規則な揺れを起こし、サスペンションとは別の動きとなりセッティングが定まらないことが起きる。そのため、ボディ全体の剛性は高いほうが良いと考えられてきた。

だがマツダは、ボディ前部に伝わる衝撃を即座にボディ後部にも伝わるようにし、ボディ全体の揺れのタイムラグがなくなるようにしている。それは、ボディ前後で不規則な歪を起こさず、振動が不規則にならないことを示している。

そうした構造のリンクを固める一方、構造部材のつなぎ目で若干のずれを許して振動を吸収している。従来はスポット溶接で繋いでいた部分であるが、伸縮接着を用いていたりする。

 マツダの新発想はまだまだ理解できないが、人間が無意識に行っている頭部の揺れを吸収する動きを参考にしていると言う。動物は無意識に獲物を狙う時など、体は動いても頭を動かさずに目線を確保している。そうした動きを車体に取り入れれば、乗り心地は別次元のものになるであろう。

しかし、スカイアクティブXエンジンと共にこれら「画期的新技術2つ」が「商品価値」となり、インセンティブを必要としないプレミアムブランドと認識されるには、長い年月が必要であろう。

 一方、北米市場でスバルが高い利益率を確保している。品質問題によって9%から一時6%まで低下させてしまったが、現在は8%まで回復させているようだ。トヨタでさえ6%からようやく8%に高めているところであるため、スバルの強さが目立っている。

このスバルのインセンティブに頼らない売り方の秘密は、「LOVEキャンペーン」である。ユーザーを組織して、販売やメンテナンスは元より、スバル車の多用な使い方に至るまで、スバル車のユーザーである「スバリスト」が相互に助け合うのである。

これは、各社参考にすることだ。これほど「強力な助っ人」はいないのだ。特に、日本国内各社販売店は真剣に研究しないと、市場はますます縮小してしまうだろう。

 これは、市場が縮小する中で、「市場創造」の切り札となる売り方である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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