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日本を半導体立国へ導くラピダスへの期待
●経産省が8025億円支援
次世代半導体を開発するラピダスに対し、経済産業省は3月31日、2025年度に上限8025億円の追加融資を行うことを決めたと発表した。ラピダスへの補助総額は1兆7225億円となる。
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ラピダスは2027年からの最先端半導体の量産を目指し、北海道千歳市で2023年9月に工場を着工。今年4月から試作ラインが稼働する。
国策企業のラピダスは、熊本の台湾TSMC工場とともに日本を半導体立国に導くことができるのだろうか?
●ラピダスの強み
ラピダスは2022年に設立され、トヨタ自動車やソニーグループが株主となっている。エヌビディアやマイクロソフトを顧客に持つシンガポールの半導体設計支援クエスト・グローバルとの協業を発表している。
米国IBM社が台湾有事に備え経済安保にもつながるとし、技術供与や技術者育成などの支援を行ってきた。
ラピダスは、回路線幅2ナノメートル(1ナノ10億分の1)級の、世界最先端半導体の量産を目指している。AI(人工知能)や自動運転に不可欠な先端半導体について、国内での供給体制構築を目指す。
国内半導体製造では40ナノが限界だが、直近では3ナノまで微細化されており、現在3ナノを製造できるのはTSMCだけである。
●夢は膨らむが課題も
そもそも2ナノの量産が成功することが、ラピダス成功の前提となる。40ナノが限界な国内で、2027年に2ナノの量産が間に合うのかという懐疑的な意見も少なくない。
TSMCのように、エヌビディアやアップルなどの顧客が確定しているわけではなく、2ナノがどこまで需要があるか、2027年には半導体業界がどうなっているのかなど、未知数な部分が多い。
国策企業と聞くと、日の丸半導体を目指したエルピーダメモリや日の丸液晶を目指したジャパンディスプレイなど、多額の税金を投入しながら周回遅れの参入や競争力の低下で失敗した悪夢が付きまとう。
また北海道は、TSMCの熊本と違い、慢性的な電力不足に悩まされている。
量産となると、電力需要を賄うために発電所の建設や原発再稼働の問題もあり、その他のインフラ整備にも課題が残る。
北海道にとっては、2036年までの経済効果が約18兆8000億円とも言われており、熊本と同様に住宅やインフラ整備の企業には大きな恩恵となる。
今のところ期待は半信半疑とならざるを得ない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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