私が介護業界の再編を「是」とする理由

2019年9月16日 18:02

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 私はなにも介護業界の再編を「大(資本)よく小(零細企業)を征する」という角度から、意義なく遠吠えしているわけではない。「再編必至」「再編が介護業界の明日を築く」とする経営者を幾多取材した結果として、頷き主張している。

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 例えば三重県を地盤に1道1府11県で100店舗近い調剤薬局を展開する上場企業、メディカル一光グループ社長の南野利久氏などもその1人。グループ企業の1社「ヘルスケア一光(05年設立)」を介して介護事業を展開している。

 介護事業の第1弾は、島根県に07年に開設した介護付き有料老人ホーム「鳳光苑」。そして現在は、大阪府・三重県・滋賀県・鳥取県・島根県などに介護付き有料老人ホーム19・サ高住1・グループホーム7・ショートステイ施設1・小規模多機能ホーム9・デイサービス事業所22・訪問介護事業所6・居宅介護支援事業所15(前2019年2月期末)。

 今日に至る詳細な沿革は同社のホームページに委ねるが、展開が急加速したのはここ数年来。象徴的なのは14年2月期。三重・鳥取で同業6社を傘下に収め、一気に施設数を14カ所増やしている。南野氏はこう語った。

 「介護報酬の引き下げの流れは事業者にとってコスト増、経営難に繋がる。裏を返せば指摘されている介護従業者の収入改善がはばまれ、採用難が進む。つまり悪循環が起こる。本来なら業界の活力を生む意味で期待される新規参入予定組も、尻込みをせざるを得なくなる。言い換えればこの業界は好むと好まざるとにかかわらず『淘汰・再編』のステージを迎えたといえる。勝ち組になるために、迎えたステージに対し積極的に対峙していきたいと考えている。『成長の糊代』が認められる業者であることを基準に、M&A戦略は常に携帯していくつもりだ」

 南野氏の言う「勝ち組になる」延長線上には、「夢」が横たわり広がっている。「メディカルモール」の整備・拡充である。

 現に三重県津市の某国立病院の前にある4000坪の土地に、06年に「胃腸科・乳腺科」「眼科」「心療内科・精神科」の開業医を誘致している。08年には「住宅型有料老人ホーム」が、14年には「介護付き有料老人ホーム」が敷地内に開設された。無論「調剤薬局」も。

 同様の展開が同県桑名市でも始まっている。敷地内には有料老人ホーム(定員100名)・特養老人ホーム(同80名)・医療モール・調剤薬局が着々と整備されている。

 南野氏はこのモールの拡充のカギは「幅広い開業医の誘致、そして介護施設の充実にある」とし、こうも言及した。「夢を拡充していくためにも、M&Aによる業界再編は大事な施策」。数回に及んだ取材の毎に、「同感」度は高まっていったのである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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