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宇宙最初期の135億年前に生まれた銀河の痕跡を発見 東大などの研究
観測された赤方偏移6の老けた銀河(左)とその銀河が星形成をしていた赤方偏移14の時における先祖(右)の想像図。(画像:国立天文台)[写真拡大]
ビッグバンにより宇宙が生まれたのは138億年前と考えられている。これまでに確認されている最古の銀河はそれから5億年後に生まれたものであるが、今回、さらに古い、宇宙誕生から3億年頃に誕生したものではないかと見られる銀河が観測された。
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研究に参加しているのは、東京大学宇宙線研究所特任研究員兼ICRRフェローの馬渡健氏、早稲田大学の井上昭雄教授、放送大学の谷口義明教授ら。
宇宙で最初の銀河はいつどこで生まれたのか、というのは天文学における大きな研究テーマの一つである。現在の推論では、宇宙が生まれて1億年から5億年ほどの間に最初の銀河は生まれた、と考えられている。直接その銀河を観測することは、現在の人類の観測装置ではまだ不可能であるかもしれない。
だが研究チームは、年老いた恒星からなる銀河に着目して、この研究テーマに挑んでいる。年老いた恒星からなる銀河、すなわち「老けた銀河」は、宇宙の過去を探るために役立つ「化石」のような存在なのである。
老けた銀河を探すこと自体も難しいのだが、今回の研究では、COSMOS天域でこれまでに撮影された観測データがフル活用された。まず、スピッツァー宇宙望遠鏡の近赤外線画像に写る3万7,000の天体の中から6つの天体を選び、これに対してアルマ望遠鏡の超高感度観測を行い、さらに3天体まで候補を絞り込んだ。
これらの3天体は、宇宙誕生から10億年程度の時代のものであり、年齢は7億歳程度の「老けた銀河」であると考えられた。そうであるとした場合、つまりこれらの銀河は宇宙年齢わずか3億歳の頃に誕生したものであるわけだ。
今回の研究の成果をさらに検証するためには、バルマーブレークの詳細な分光確認が必要なのだが、2021年にNASAが打ち上げ予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使えば、確認できるのではないかという。
本研究の詳細は論文にまとめられ、現在Astrophysical Journalに投稿中である。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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