シューメーカー・レヴィ第9彗星が人類にもたらしたもの

2019年7月16日 06:49

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木星衝突目前のシューメーカー・レヴィ第9彗星 (c) NASA

木星衝突目前のシューメーカー・レヴィ第9彗星 (c) NASA[写真拡大]

 1994年7月16日、つまり今からちょうど25年前に、人類史上初となる世紀の天文ショーが木星において繰り広げられた。

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 その天文ショーとは、シューメーカー・レヴィ第9彗星の木星衝突事件である。当時は彗星の木星への衝突時刻が予測され、リアルタイムで衝突する瞬間が動画に収められて、その映像が全世界に瞬く間に広がった。

 この彗星が木星に衝突する可能性があることは、比較的早くから、予測されてはいたが、地球から衝突の様子がはっきりと確認できるほどの事象にはならないだろうというのが大方の見方であった。

 しかしながらいざ衝突の当日、ふたを開けてみれば、人類史上に残る歴史的大事件として世界各国のマスコミが取り上げるほどの、壮大なショーが繰り広げられることになったのである。

 この事件以降、木星への天体衝突に対する関心が世界的に高まり、過去に同様の事象がなかったか、あるいは将来そのような事象が起きる可能性はないのかという疑問をもつ人たちが急増した。

 たとえば、日本の研究者グループがパリ天文台の図書館に保存されている木星のスケッチの中から、1690年12月ごろにジョバンニ・カッシーニによって書かれたものに、シューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突と酷似しているものを発見した。

 ジョバンニ・カッシーニは土星の4つの衛星を発見したほか、土星の環に隙間が空いていることを発見した天文学者としても有名で、この隙間はカッシーニの間隙と名づけられている。

 2009年7月には、木星に直径500m程度の小惑星の衝突痕があることが、ハッブル宇宙望遠鏡によって確かめられ、その後、2010年6月、2010年8月、2012年9月に立て続けに、木星への天体衝突による発光現象が確認されている。

 これらの事象は巨大惑星が他の天体に及ぼす引力の影響が、極めて大きく、木星への天体衝突がさほど珍しい現象ではないことの証左でもある。

 25年前、私も自分の天体望遠鏡でシューメーカー・レヴィ第9彗星の木星衝突後の状況を観察していたが、当時の印象はいまだに心に鮮明に焼き付いている。当時の写真や動画もインターネットで検索すれば、たくさん見ることができる。

 この彗星の木星衝突は単なる天文ショーというだけでなく、太陽系の歴史を語る上でも人類に大きな気づきを与えた事件となった。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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