原始惑星系円盤に惑星形成中の場所を発見 アルマ望遠鏡

2019年6月28日 08:18

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アルマ望遠鏡が観測した「うみへび座TW星」を取り巻く原始惑星系円盤。観測では、円盤の南西側(図右下側)に周囲より電波を強く放つ小さな場所が発見された。 (c) ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), Tsukagoshi et al.

アルマ望遠鏡が観測した「うみへび座TW星」を取り巻く原始惑星系円盤。観測では、円盤の南西側(図右下側)に周囲より電波を強く放つ小さな場所が発見された。 (c) ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), Tsukagoshi et al.[写真拡大]

 国立天文台は26日、原始惑星系円盤の中で惑星が形成されている証拠を発見したと発表した。この観測では、原始惑星系円盤内に小さな電波源(周囲より電波が強くなっている場所)が発見された。研究グループは、この電波源を惑星が誕生・成長しつつある現場だと考えている。

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■惑星誕生のモデル

 惑星の材料は宇宙空間を漂うガスとちりである。このガスとちりが原始恒星を中心に円盤状に回り始める。もし回転が無ければ遠心力が働かず、ちりもガスも原始恒星に落ちていってしまうため、惑星にならない。

 円盤のちり同士が重力で集まり、直径10キロメートル程度の岩石のかたまり「微惑星」が出来る。これらの微惑星同士が激しく衝突しながら合体して原始惑星となる。

 原始恒星の周りに円盤が出来るのと同じように、惑星の形成過程では原始惑星を中心に円盤状の構造(周惑星円盤)が出来ることが理論的に予想されている。木星の様なガス惑星を回る衛星の多くは同一軌道面にありほぼ円軌道であることから、周惑星円盤の中で衛星が出来たものと考えられている。このような周惑星円盤は、これまでの観測では確認できていなかった。

■今回の観測

 研究グループは、惑星が成長する過程を調査するため、アルマ望遠鏡でうみへび座TW星を観測した。この星は、地球から194光年の距離にある年齢約1000万歳の若い恒星で、質量は太陽と同程度である。

 その観測データによると、周囲に比べて1.5倍ほど電波が強くなっている場所があり、その電波源の正体には次の可能性があるという。

 (1)原始惑星を取り巻く周惑星円盤
 (2)原始惑星になる前のちりとガスの渦

 どちらの場合も円盤内で惑星が作られる重要な場面を見ていることになる。これにより、惑星の形成過程に秘められたからくりを解き明かす重要な手がかりが得られた。

■今後の発展

 今回の研究で見つかった小さな電波源の正体を見極めるため、研究グループは、より精度の高い観測方法を計画している。

 この観測成果は、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載された。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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