良いドローンと悪いドローン

2019年6月27日 06:29

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楽天によるドローン。(画像: 楽天の発表資料より)

楽天によるドローン。(画像: 楽天の発表資料より)[写真拡大]

 6月4日付け財経新聞のIT・サイエンス欄に、「そろそろ、ドローン教習所に行ってみるか?」と題する記事を投稿した。目下、ドローン症候群と言って過言ではない。だけに「ドローン」に関する記事・報道の類には、鵜の目鷹の目である。今回、見出しのような記事を書くに至ったのは、以下の様な事実を知ったからである。

【こちらも】そろそろ、ドローン教習所へ行ってみるか?

 楽天と西友が7月4日から3カ月間、東京湾・猿島に観光客用の食料品をドローンで配送すると発表した。連絡船の本数が少ないマイナスをカバーするためだという。

 日本財団(旧日本船舶振興会)が2018年8月から19年3月にかけ6回の有識者懇談会を開いた。そこでは、「船舶の無人化による将来の日本社会と期待される効果」について議論が積み重ねられた。結果として、「20年後の無人運航船」の未来図が描かれた。

 他人の褌で相撲を取ることをお詫びする。お許しいただきたい。というのも6月6日にSankeiBiz編集長の柿内公輔氏が、その未来図を物の見事に描き記している。タイトルは、無人運航船が導く大革命 「海のドローン」経済効果1兆円、国際競争も加速。

 記事内容の詳細は「見出し」の検索でお読みいただくとして、2040年の東京・瀬戸内海の臨海部の住民の生活がどう変わりどう賑わうかが、まさに目に見えるように表現されている。「良いドローン」のまさに代表例といえる。

 少子高齢化は海運業界も直撃する。日本財団では「内航海運全体の船員数は15年の約2万人から5000人減少する」と試算している。それを補いかつ経済の活性化を図ろうという「海のドローン」に、期待のエールを送りたい。

 一方、罵声を浴びせたい?「悪いドローン」も登場している。対米・対日・対中関係で四面楚歌状態が伝えられ、かつ今年4月の経常収支が7年ぶりに赤字(日本円換算約710億円)に転落した韓国での出来事である。

 韓国陸軍が小型無人機ドローンを攻撃・偵察・物資&弾薬の輸送など軍事用に導入したと伝えられた。現に韓国陸軍は韓国メディアに、爆弾搭載の攻撃用ドローンを操縦する様子を公開している。

 複数のメディアが「自爆型ドローン」と報じたという。その背景には前記の「良いドローン」同様に、少子高齢化があるとされる。周知の通り韓国は徴兵制を執る国。18年には約46万人いた陸軍兵士が25年には約35万人に減少するという。その穴埋めを「軍事用ドローン」導入に委ねるというわけだ。

 元々は米軍により攻撃機器として生み出されたドローン。が、最近の潮流は「産業用」に軸足が移っている。それに逆行するような軍事用ドローンはやはり「悪いドローン」と断じざるをえない。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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