関連記事
次の周期の太陽活動予報は「絶好の宇宙探査日和」 NASAの研究
2012年8月31日に起こったコロナ質量放出の様子。(c) NASA's Goddard Space Flight Center[写真拡大]
NASAは6月12日、新しい方法による太陽活動予測について報告した。その現在進行中の研究によると、次の周期的な太陽活動は、過去200年間で最も弱いと予測されている。太陽活動の指標である黒点の数は現在の周期と比べて30~50%低くなる可能性がある。なお次の周期は、2020年に始まり、2025年に極大に達する見込みとなっている。
【こちらも】極地研、江戸時代の日記を分析し太陽の自転周期と雷発生の関連性を突き止める
■太陽活動周期
太陽表面に現れる黒点の数は約11年周期で増減することが知られており、この変動の周期は太陽活動周期と呼ばれている。黒点の数が極大になる時期を太陽活動極大期という。極大期には太陽表面の爆発現象であるフレアの発生頻度が高い。フレアが発生すると太陽から大量の荷電粒子が放出され、宇宙飛行士や人工衛星に影響を与える可能性がある。
■今回の研究内容
新しい研究での予測方法は、以前の方法とは元となる入力が異なっている。従来では、黒点の数を数えることで太陽活動の指標としていたが、新手法では、太陽表面の磁場の強さを直接観測したデータを使用した。
観測データとして、NASAの2つの宇宙ミッションで得られた結果と地上での観測データが用いられた。また太陽内部の状態を表すパラメータとして、黒点などの太陽表面の現象から推定した値を組み入れることで、予測の精度をより高めた。
2008年に研究者らはこの方法を用いて予測を行っていた。10年に渡って展開している現在の太陽周期について、その予測と実測値を比較してみたところ、太陽活動極大のタイミングと磁場の強さが高い精度で一致したという。
■太陽活動予測の意義
太陽活動予測は、宇宙飛行士や宇宙望遠鏡、月や火星に向かう着陸車やローバーが放射線にさらされることを避け、宇宙探査の安全を確保するために必要な情報を提供する。また私達の生活に関わりが深い、通信衛星などの機器を守ることもできる。
NASAは今後5年間で、アメリカの宇宙飛行士を月の南極に着陸させる計画を立てている。次の太陽活動周期は放射線の危険が少ないため、宇宙探査には絶好の機会となるだろう。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード