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日産の経営統合問題 (1) 「経営統合」はルノーが20年間待ち続けた念願のゴール
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13日のTBSニュースは、「日産自動車にルノーが具体的な経営統合案を提案した」と報じた。具体的統合案の内容とは、「新たに共同持ち株会社を設立してルノーと日産を傘下に置くことが柱となっており、持ち株会社の本社は第三国に置き、ルノー・日産の両社が同数の役員を指名する」という。
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伏線は、4月12日に行われた日産・三菱自動車・ルノーの3社会談にある。この時ルノーのスナール会長は、日産の西川社長に対して「我々アライアンスの3社は、新しいステップとして新しいアライアンスのスタートを切ろうとしている。株式の持ち合いや資本構成に影響はない」と語ったという。まだるっこしいが、スナール会長の発言は経営統合の意向を伝えたものだと報じられた。
日産とルノーのこれまでの経緯を頭に入れながら、スナール会長の発言を分かり易く表現すると、「現在の株式の持ち合いや資本の構成は変更しないで、3社のアライアンス(同盟関係)を経営の統合へと進めましょう」となるだろう。
ルノーが日産を意のままにしようとしている背景には、ルノーの大株主であるフランス政府の強い意向がある。ルノーは第二次世界大戦終了後、ドゴール大統領(当時)の行政命令で国有化されて以来45年間に渡り、フランスの国営企業であった。フランス政府が15%の株式を保有する大株主である理由はここにあり、ルノーの経営を実質的に牛耳っているのはフランス政府と見るべきだ。
18年の春、ルノーの会長職に、当時会長であったゴーン被告が再任されるかどうか微妙な時期があった。日産とルノーを不可逆的な関係へ移行させることを目指しているフランス政府は、ゴーン元会長がなかなか同意しないことに苛立ち、ルノーの会長職を取引の材料にしたのだろう。
不可逆的な関係に移行することに同意するなら、名誉あるルノーの会長職に再任するという暗黙のバーターだ。ゴーン元会長はこれまでも同様の要求を受けていたが、実際に不可逆的な関係に移行した場合には、自分の存在理由が失われることも理解していた。そしてこのミッションを遂行できるのは、ゴーン元会長の剛腕を抜きに考えられないということは関係者の共通の認識だった。
逆に考えると、ミッションを成功させた時からゴーン元会長の退任への秒読みが始まることを、本人は十分理解していたので昨春まで時間稼ぎをしてきたが、いよいよ潮時と見極めて、フランス政府に不可逆的な関係へと移行するステップを踏む旨に同意した(黙契かもしれない)。前段で大いに揉めていたルノー会長職へのゴーン元会長の再任が、最終的にはあっけなく決まったように感じられるのは、こうした背景があるからだろう。ルノーの会長職再任はゴーン元会長が「統合」へと腹を括った証と思われる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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