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史上初、小惑星「イトカワ」から採取の微粒子より直接水分を検出 米大学
イトカワの微粒子。(c) JAXA[写真拡大]
研究者たちの間では、太陽系の小惑星に水分が存在するという認識は一般的なものになっている。しかしこれまでは、間接的な証拠による存在確認にとどまっていた。今回水分の存在を直接確かめたのは、アリゾナ州立大学の研究者たちである。
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彼らはJAXAの「はやぶさ」が2010年6月13日におよそ60億kmの宇宙の長旅を経て、持ち帰った小惑星イトカワの微粒子サンプルを直接分析し、水分の検出に成功した。これは人類史上初めてのことであり、地球に存在する水の起源について解明するための、新たな重要な手掛かりをもたらしてくれることになるかもしれない。
これまでにも小惑星に存在するであろう水分の間接的な観測は、様々な形でなされてきた。昨年末(2018年12月18日)、JAXAは赤外線天文衛星「あかり」が17個の小惑星で水の存在を示す証拠を観測したことを公表している。2016年にはNASAから探査機「ドーン」により、2個の小惑星で水の存在証拠を確認したとの情報がもたらされた。
だがこれらは、水の存在を確実視できることを示す間接的証拠を観測データによって把握できたに過ぎない。その意味で今回の発見は非常に価値がある。
小惑星は、地球のような大きな惑星と比較して内部は低温である。その結果、地球内部のように高温で融けて核やマントルに分化していない。これはつまり小惑星が太陽系ができた当時の状態をそのまま保ってきたことを意味している。
また水分存在の間接的証拠が確認できている前出の19個の小惑星はすべてC型小惑星と呼ばれるもので、炭素の含有量が高い炭素質コンドライト隕石と類似した特徴を有している。炭素質コンドライト隕石は、気化しやすい成分を多量に含む。惑星が誕生する以前の時代から、現在まで他の天体との衝突を免れて200度を超えたことがないため、水分蒸発を免れた貴重な存在である。
また一方で、JAXAの「はやぶさ2」による観測ではC型小惑星リュウグウの表面では水はほぼ枯渇していることも確認されている。
なお、今回直接水分の検出に成功した小惑星イトカワは前出のC型小惑星ではなく、S型小惑星に分類される。ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウムなどの石質の物質を主成分とする小惑星で、火星と木星の軌道間の小惑星帯(アステロイドベルト)を周回している小惑星の大部分は、このS型小惑星である。
今回の分析では水分中の水素と重水素の比率も測定しており、地球上の鉱物とほとんど区別がつかないほどよく似た水素同位体組成を示していることも判明している。
研究の結果は5月1日、「Science Advances」に掲載された。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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