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ガバナンスが問われているLIXILに、最終章が迫っている! (2-2)
最終黒字を見込んでいた19年3月期決算が一転して赤字になったのは、11年に約600億円で買収したイタリアのペルマスティリーザ社に関わる減損損失の計上による。
【前回は】ガバナンスが問われているLIXILに、最終章が迫っている! (2-1)
瀬戸氏が請われて、LIXILグループの社長兼CEOに就任したのは16年6月のことである。前任の藤森義明氏は11年8月からCEOに就任し、米アメリカン・スタンダードや独グローエなど、業界における世界的名門企業を次々に買収していた。
M&Aは相手企業に関する調査活動を含めて、最終手続きまでには長い期間が必要となる。伊ペルマスティリーザの買収時期と藤森氏の就任時期を勘案すると、藤森氏が采配を振るって進めたと考えることすら無理がある。藤森氏の前任である潮田氏が引いていたレールに乗ったのが藤森氏で、16年に藤森氏の後を継いだ瀬戸氏にとっては、問題を抱えたLIXILの子会社でしかなかったと見るのが妥当だろう。
逆に瀬戸氏はCEO在任中に伊ペルマスティリーザを中国企業に売却する方針を決定している。折悪しく米中貿易摩擦の影響を受け、米当局(対米外国投資委員会=CFIUS)の承認が下りずに膠着していた。
ちなみに、統合直前のINAX社長で現在LIXILグループの取締役である川本隆一氏は、「伊ペルマスティリーザの売却に潮田氏が反対していた」と言っている。瀬戸氏と潮田氏の経営センスには、相当大きな乖離があるようだ。
瀬戸氏のCEO解任を巡る調査・検証結果が記載された、西村あさひ法律事務所による報告書は9日に全文が開示された。この調査報告書によると、「過去の指名委員会の議事録に、業績の悪化を理由とした瀬戸氏の辞任や解任を求める議論がなされた形跡がないこと」や、「指名委員の中に瀬戸氏が業績悪化の責任を取ってCEOを退任すると認識しているものがいなかった」と指摘されている。
定時株主総会へ向けて取締役候補を絞り込んでいると見られる指名委員会が、再び潮田氏を選任することは考えにくいが、瀬戸氏退任の背景を検証した弁護士の報告に「多くの取締役に潮田氏への遠慮があった」と記載されていることの意味は大きい。どんな理由があって遠慮しているのかは不明だが、隠然たる影響力の行使が懸念される理由はここにある。
潮田氏が使いやすい人物を取締役に押し込んで、院政を敷く目論見すら論じられている状況を考えると、指名委員会の負う責任はあまりに重い。LIXILにガバナンスが確立されるには、指名委員会が本来の役割を果たせるかどうかにかかっている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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